キリスト教/東方正教会アンティオキア総主教庁/北米アンティオキア正教大主教区の首座府主教サバ座下が、非カルケドン派とはフル・コミュニオンの状態にないという文書を発表(2025年4月)

 2025年4月25日付で、キリスト教/東方正教会/アンティオキア総主教庁下の北米アンティオキア正教キリスト大主教区首座府主教サバ座下(His Eminence, the Most Reverend Saba (Isper), the Archbishop of New York and Metropolitan of the Antiochian Orthodox Christian Archdiocese of North America)から文書が出ています。

 

 (英語:北米アンティオキア正教キリスト大主教区 公式ウェブサイト)Antiochian Orthodox Christian Archdiocese of North America

FRIDAY, APRIL 25, 2025
The Chalcedonian and Non-Chalcedonian Churches: An Objective Presentation
His Eminence Metropolitan Saba (Isper)

In this article, I address a sensitive issue that has been raised in various circles within our Archdiocese. I have received several questions during my pastoral visits or via email regarding the Oriental Orthodox churches (non-Chalcedonian), in general, and the Coptic Church, in particular.

While the churches have encouraged fraternal relations, the sharing of the Eucharist and the other sacraments has not been established between them.

Google翻訳(引用三か所まとめて):
2025年4月25日(金)
カルケドン派教会と非カルケドン派教会:客観的な提示
サバ(イスパー)大主教猊下

本稿では、私たちの大司教区内の様々な界隈で提起されているデリケートな問題について論じます。司牧訪問やメールで、東方正教会(非カルケドン派)全般、特にコプト教会に関する質問をいくつか受けました。

教会は兄弟愛を奨励してきましたが、聖体拝領やその他の秘跡の共有は、教会間で確立されていません。

 これは要するに、友好的な対話は続いているものの、非カルケドン派のオリエント正教会の各教会(特にコプト正教会)とは、フル・コミュニオンの状態にないということなのですが……。

 この文書に対し、東方正教会の主流の教会に所属しない保守派の聖職者が(アンティオキア総主教庁の態度について)反論(当然ですが、エキュメニズムにも反対、非カルケドン派との対話にも反対)。

 (英語)A Critical Examination Concerning Metropolitan Saba of the Antiochian Archdiocese: Exposing His Ecumenist Lies

 ご存知の方もおられるかと思いますが、東方正教会アンティオキア総主教庁はシリア正教会と、条件付きながら相互陪餐のような関係にあります。これは上記の反論記事にも、合意内容の引用付きで説明してあります。

 そして、

Yet, when their betrayal becomes public knowledge among the faithful in Western countries and among non-Arab Orthodox, their immediate reaction is to lie, to obfuscate, and to launch a coordinated campaign of deception through their official media outlets—issuing blatant denials of the very agreements they proudly trumpet in their homeland.

Google翻訳:
しかし、彼らの裏切りが西側諸国の信者や非アラブ系正教徒の間で公に知られると、彼らは即座に嘘をつき、事実を曖昧にし、公式メディアを通じて組織的な欺瞞キャンペーンを展開する。母国で誇らしげに吹聴している合意そのものを露骨に否定するのだ。

 要するに、今回のサバ府主教の文書を、ごまかしであり、わざわざコプト正教会の名前を目立つように出しているのは、シリア正教会との関係から目を逸らさせるためだとしています。

 これに関していいますと、上記批判記事でもわかりますが、アンティオキア総主教庁とシリア正教会が特殊な関係になっているのは、現地の街にどちらかの教会の聖職者が一人しかいない、というような現実的な困難にも起因しており、アンティオキア総主教庁の態度は現実と妥協しつつ東方正教会の他の教会とも関係を維持したい方向でのものだと言えるでしょう。
(それが教えを守ることとして正しいかはともかくとして)
 また、上記批判記事でもこの部分の、つまり現実的に現地の信徒とどう関係すればいいかについては特にありません(「見捨てろ」とは言いにくいかもしれませんが)。

 コプト正教会の件は、ごまかしのために名前が出されているというのは、これは少し誤解、ないしは曲解のような気がします。
 というのも、北米アンティオキア正教キリスト大主教区の出版部門(細かい組織形態は知りませんが)で、コプト正教会の修道士を扱った書籍が出版されるなどのことがあり、信徒から疑問が提出されているということはありました。

 

 総じてですが、今、この時期にサバ府主教が、この文書を出した理由が、外部の人間にはわからないところがあります。

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