シスマ2018:ロシア大統領報道官ペスコフ氏「クレムリンはロシア正教会の懸念を共有」(2018年10月)

【シスマ2018】東方正教会大分裂: ウクライナへの独立正教会設置を巡るコンスタンティノープルの全地総主教庁とロシア正教会モスクワ総主教庁の対立とそれに端を発した出来事及びその他のシスマ的な出来事の記事一覧

 

 キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープルの全地総主教庁が、ロシア正教会による“キエフ総主教フィラレート聖下”及び“ウクライナ独立正教会首座マカリー座下”への Anathema(簡単にいうと破門の重いほう)撤回を正式発表したことに関して質問を受けて、ロシア大統領報道官ドミトリー・ペスコフ氏(Dmitry Peskov)が回答しています。

 

 (英語)TASS: Society & Culture – Kremlin shares Russian Church’s concern over Constantinople’s decision on Ukraine

 

 ペスコフ氏は、プーチン政権が、ロシア正教会によるウクライナ正教会情勢についての懸念を共有していることを述べ、ロシア政府は宗教への介入はしないが、ウクライナ政府が“過激派”から東方正教会信者を守れないときなどは、純粋に政治的・外交的手段で東方正教会信者を守る用意がある、と述べたようです。

 

追記:
 ロシア大統領府【クレムリン】公式サイトの記事へリンクしておきます。
 ロシア大統領プーチン閣下と国家安全保障会議の固定メンバーとの会合。

 (英語:ロシア大統領府【クレムリン】公式サイト)Meeting with permanent members of the Security Council • President of Russia

The meeting participants also exchanged views on the position of the Russian Orthodox Church in Ukraine after the Constantinople Patriarchate’s Synod had decided to launch the process of granting autocephaly to the Ukrainian Church, revoking the Synodal Letter of the year 1686, which granted the right through oikonomia to the Patriarch of Moscow to ordain the Metropolitan of Kiev, and the statement on re-establishing the Stavropegion of the Ecumenical Patriarch in Kiev.

 (英語)TASS: Russian Politics & Diplomacy – Russian Orthodox Church in Ukraine in focus of Putin’s meeting with Security Council

追記2:
 ロシア連邦外務大臣ラヴロフ閣下によるコメントなど。

 (英語)TASS: Russian Politics & Diplomacy – Lavrov: US backs Patriarch Bartholomew’s provocation against Orthodox Church in Ukraine

 

キリスト教/ウクライナ正教会のボリスポリ・ブロヴァリー府主教アントニー座下がコメント(2018年10月)コンスタンティノープルの全地総主教庁を批判

【シスマ2018】東方正教会大分裂: ウクライナへの独立正教会設置を巡るコンスタンティノープルの全地総主教庁とロシア正教会モスクワ総主教庁の対立とそれに端を発した出来事及びその他のシスマ的な出来事の記事一覧

 

 キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープルの全地総主教庁が、ロシア正教会による“キエフ総主教フィラレート聖下”及び“ウクライナ独立正教会首座マカリー座下”への Anathema(簡単にいうと破門の重いほう)撤回を正式発表したことを受けて、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会モスクワ総主教庁管轄権下で高度な自治的権限を有するウクライナ正教会のボリスポリ・ブロヴァリー府主教アントニー座下(His Eminence Metropolitan Antoniy of Boryspil and Brovary)がコメントを発表。

 

 (ウクライナ語:ウクライナ正教会公式サイト)Коментар Керуючого справами УПЦ митрополита Бориспільського і Броварського Антонія щодо рішень Синоду Константинопольського Патріархату від 11 жовтня 2018 року – Українська Православна Церква

 

 箇条書きにしますと、

  • コンスタンティノープルの全地総主教庁は世界の東方正教会を分断しようとしている。
  • 全地総主教庁の発表文書は、回答よりも疑問が多いものだ。
  • 実際のところ、なにも変わっていない。我々が唯一の教会法上合法なウクライナ正教会である。
  • 神の真理は無敵である。

 

シスマ2018:キリスト教/コンスタンティノープルの全地総主教庁が、ロシア正教会による“キエフ総主教フィラレート聖下”及び“ウクライナ独立正教会首座マカリー座下”への Anathema(簡単にいうと破門の重いほう)撤回を正式発表(2018年10月)モスクワ総主教庁「コンスタンティノープルはレッドラインを超えた」10月15日の聖シノドで対応を決定。コンスタンティノープルを破門する可能性も

【シスマ2018】東方正教会大分裂: ウクライナへの独立正教会設置を巡るコンスタンティノープルの全地総主教庁とロシア正教会モスクワ総主教庁の対立とそれに端を発した出来事及びその他のシスマ的な出来事の記事一覧

 

 すでに先行してギリシャの正教会系メディアが報道していましたが、正式発表です。

 2018年10月11日、キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープルの全地総主教庁聖シノドは、ロシア正教会によっておこなわれた教会法上合法でない“キエフ総主教フィラレート聖下”及び“ウクライナ独立正教会首座マカリー座下”への Anathema(簡単にいうと破門の重いほう)を撤回することを決定。
 フランス府主教エマニュエル座下(His Eminence Metropolitan Emmanuel of France)、
 「キエフにおける総主教代理」アメリカ合衆国ウクライナ正教会(Ukrainian Orthodox Church of the USA)のパンフィロン大主教ダニエル座下(His Eminence Archbishop Daniel, Archbishop of Pamphilon)、
 「キエフにおける総主教代理」カナダ・ウクライナ正教会(Ukrainian Orthodox Church of Canada)のエドモントン・西部教区主教イラリオン座下(His Grace, the Right Reverend Bishop Ilarion, Bishop of Edmonton and the Western Eparchy)、
 らが発表。

 

 (英語:コンスタンティノープルの全地総主教庁公式サイト)Announcement (11/10/2018). – Announcements – The Ecumenical Patriarchate

 

Ecumenical Patriarchateさんがライブ動画を作成しました。 – Ecumenical Patriarchate

 

 ロシア正教会モスクワ総主教庁側は、2018年10月15日に、ベラルーシのミンスクで聖シノドを開催、ウクライナ正教会(モスクワ総主教庁系)関係者は、(興奮しているのかもしれませんが) キリスト教/東方正教会首席/コンスタンティノープル=新ローマ大主教・全地総主教バルソロメオス聖下(バーソロミュー1世世界総主教バルトロマイ1世ヴァルソロメオス1世 : His All-Holiness Bartholomew, Archbishop of Constantinople-New Rome and Ecumenical Patriarch)への Anathema もありうるとしているとのこと。

 

 (英語)TASS: Society & Culture – Ecumenical Patriarchate lifts anathema against leaders of two Ukrainian churches
 (英語)TASS: Society & Culture – Constantinople cancels 1686 decision on Kiev Metropolia
 (英語)TASS: Society & Culture – Moscow patriarch comments on decision to lift anathema against Ukrainian church leaders
 (英語)TASS: Society & Culture – Russian Orthodox Church’s Holy Synod to assess Constantinople moves on October 15
 (英語)TASS: Society & Culture – Patriarch Bartholomew must be anathematized — Ukrainian Orthodox Church
 (英語)TASS: Society & Culture – Russian Orthodox Church official vows ‘firm and tough’ response to Constantinople’s move

 (ロシア語:ロシア正教会モスクワ総主教庁公式サイト)В.Р. Легойда: Константинопольским Патриархатом совершено беспрецедентное антиканоническое действие / Новости / Патриархия.ru

 (セルビア語:セルビア正教会モンテネグロ・プリモルスカ府主教庁公式サイト)Цариград почео процес признавања аутокефалности УПЦ, из Московске патријаршије кажу да је то легализација раскола | Православна Митрополија црногорско-приморска (Званични сајт)

 

シスマ2018:ギリシャ系メディアの報道(正式発表はまだ)キリスト教/コンスタンティノープルの全地総主教庁が、ロシア正教会による教会法上合法でない“キエフ総主教フィラレート聖下”及び“ウクライナ独立正教会首座マカリー座下”への Anathema(簡単にいうと破門の重いほう)を撤回(2018年10月)

【シスマ2018】東方正教会大分裂: ウクライナへの独立正教会設置を巡るコンスタンティノープルの全地総主教庁とロシア正教会モスクワ総主教庁の対立とそれに端を発した出来事及びその他のシスマ的な出来事の記事一覧

 

※正式発表はまだです。
来ました:シスマ2018:キリスト教/コンスタンティノープルの全地総主教庁が、ロシア正教会による“キエフ総主教フィラレート聖下”及び“ウクライナ独立正教会首座マカリー座下”への Anathema(簡単にいうと破門の重いほう)撤回を正式発表(2018年10月)モスクワ総主教庁「コンスタンティノープルはレッドラインを超えた」10月15日の聖シノドで対応を決定。コンスタンティノープルを破門する可能性も

 2018年10月11日、キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープルの全地総主教庁聖シノドは、ロシア正教会によっておこなわれた教会法上合法でない“キエフ総主教フィラレート聖下”及び“ウクライナ独立正教会首座マカリー座下”への Anathema(簡単にいうと破門の重いほう)を撤回することを決定した模様です。

※フィラレート聖下のほうは Anathema が撤回された時点で、東方正教会の教会法上合法な主教(主教以上)ということになるでしょう。
※マカリー座下は、そもそも Anathema が宣告されているのかどうかと、主教叙聖をおこなった主教らが教会法上合法な主教かどうか確認していません(というかギリシャ系メディアも知らないのでは……)。

 

 (英語)BREAKING NEWS: EP reinstates Ukraine’s Patriarch Filaret, Archbishop Makariy – ΟΡΘΟΔΟΞΙΑ INFO
 (ギリシャ語)Το Οικουμενικό Πατριαρχείο επανέφερε τον σχισματικό Πατριάρχη Φιλάρετο

 

キリスト教/エストニア正教会モスクワ総主教庁系首座エフゲニー府主教座下が、エストニア首相ラタス閣下を訪問(2018年10月)

 2018年10月9日、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会モスクワ総主教庁下で自治的な権限を保有するエストニア正教会(モスクワ総主教庁系)の首座/タリン・全エストニア府主教エフゲニー座下(His Eminence Yevgeniy, Metropolitan of Tallinn and All Estonia, Primate of the Estonian Orthodox Church of Moscow Patriarchate)は、エストニア共和国首相ユリ・ラタス閣下(Jüri Ratas)を訪問したようです。

 エフゲニー座下は1957年10月9日生まれで、訪問当日に61歳を迎え、首相から祝いの言葉を受けました。

 両者は国家と教会の様々な分野での協力の重要性を強調しましたが、エフゲニー座下は教会は政治とは関わらず人道上の問題で協力するということを述べたようです(この辺りはどこでもだいたいいつも通りのことです)。

 一方、聖堂の所有権や、聖職者の入国に関する受け入れ人数の変更の可能性といった話が出ています。
 前者については、推測ですが、エストニア共和国はコンスタンティノープルの全地総主教庁系のエストニア使徒正教会を古くからエストニアに存在した教会勢力の後継と認めているため、エストニア正教会モスクワ総主教庁系との間で、各聖堂の所有権に関する認識にずれがある、ということだと思います。
 後者ですが、こちらも推測ですが、エストニア政府がロシア人聖職者の移住を食い止めたいということがありうるかもしれません(しかし、ロシアを名指ししていないので、もしロシア限定でないなら他の国の他の宗派宗教すべてにあてはまります)。

 

 (ロシア語:エストニア正教会(モスクワ総主教庁系)公式サイト)Встреча Митрополита Таллиннского и всея Эстонии Евгения и Премьер-министра Эстонии Юри Ратаса | Эстонская Православная Церковь Московского Патриархата
 (ロシア語:ロシア正教会モスクワ総主教庁公式サイト)Состоялась встреча митрополита Таллинского и всея Эстонии Евгения и премьер-министра Эстонии Юри Ратаса / Новости / Патриархия.ru

 

 シスマによりエストニア共和国は大きな影響をこうむる可能性もあり、そのことについて話し合われた可能性もありますが……。