訃報(2018年10月22日):キリスト教/東方正教会/アトス山のドヒアリウ修道院長グリゴリウ掌院が永眠(?~2018)

 2018年10月22日、キリスト教/東方正教会/アトス山の第10席ドヒアリウ修道院の修道院長グリゴリウ掌院(Grigoriou)が永眠した模様。
 生年不明ですが、76歳とのこと。

 高位聖職者の参列のない、一介の修道士としての葬礼を希望していたということです(個人的な信念か、はたまた現在の東方正教会の混乱が原因かは不明)。

 

Romfea.gr:
Εξόδιος Ηγουμένου Δοχειαρίου Γρηγορίου – YouTube

 

 (英語)Abbot Gregory of Athonite Dochariou Monastery reposes in the Lord (+ VIDEO) / OrthoChristian.Com
 (英語:ルーマニア正教会通信)Abbot Gregory of Athonite Dochariou Monastery reposes in the Lord – Basilica.ro

 (ギリシャ語)Το ''ύστατο χαίρε'' στον Καθηγούμενο της Ι.Μ. Δοχειαρίου Γρηγόριο
 (ギリシャ語)Σε εξέλιξη η Εξόδιος Ακολουθία του γέροντα Γρηγορίου Αρχιπελαγίτη – ΒΗΜΑ ΟΡΘΟΔΟΞΙΑΣ
 (ギリシャ語)Ετάφη ο Αγιορείτης γέροντας Γρηγόριος – ΒΗΜΑ ΟΡΘΟΔΟΞΙΑΣ

 (ルーマニア語)A trecut la Domnul Arhimandritul Grigorie, Starețul Mănăstirii Dohiariu din Muntele Athos | Doxologia

 (ルーマニア語:ルーマニア正教会通信)Starețul Mănăstirii Dohiariu din Muntele Athos a trecut la Domnul – Basilica.ro

 

Doxologia – Marţi, 23 octombrie 2018, la câteva minute… | Facebook

 

Basilica.roさんのツイート: "Starețul Grigorie a fost unul dintre ucenicii Sfântului Amfilohie Makris. https://t.co/afmWtHnaMT"

 

Starețul Grigorie a fost unul dintre… – Agenția de știri Basilica | Facebook

 

シスマ2018 (Spillover):キリスト教/ギリシャの東方正教会メディアΡΟΜΦΑΙΑ(Romfea.gr)が、モスクワのムフティー(イスラム教スンナ派指導者)の発言を伝える「ムスリム(イスラム教徒)はウクライナの情勢を憂慮している」「宗教は融和のためのもの」「教会分裂は良くない」(2018年10月)

 ギリシャの東方正教会系メディアΡΟΜΦΑΙΑ(Romfea.gr)が、モスクワのムフティー(イスラム教スンナ派指導者)の発言を伝えています。

 

 (ギリシャ語)Μουφτής Ρωσίας: ''Ανησυχούμε για την εκκλησιαστική κατάσταση στην Ουκρανία''

 

 記事によれば、モスクワのムフティー アリビール・クルガーノフ師(Albir Kurganov)が「ムスリム(イスラム教徒)はウクライナの情勢を憂慮している」「宗教は融和のためのもの」「教会分裂は良くない」という主旨の発言をしたということです。

 

 (ロシア語)Презентация доклада "Свобода совести и религиозная нетерпимость в современном мире" прошла в стенах пресс-центра «Россия сегодня» – Официальный сайт Духовного управления мусульман Москвы и Центрального региона "Московский Муфтият"

 

 公式サイトっぽいものを見つけたので読んでみたところ、主題は「信仰の自由」「テロの脅威」「ウクライナ問題」「欧州の反イスラムと反ユダヤ」「社会の世俗化と非伝統的な価値観の広がり」ですが、記事ではウクライナについてはおまけにひとことくらいの扱いでした。

 

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 2018年~ ウクライナへの独立正教会設置を巡るコンスタンティノープルの全地総主教庁とロシア正教会モスクワ総主教庁の対立関連の記事一覧

 

ロシア国営タス通信記事(英語):キリスト教/セルビア総主教イリネイ聖下「コンスタンティノープルの行動は東方正教会に長期に渡る亀裂を生み出す」(2018年10月)

 ロシア国営タス通信の記事ですが、キリスト教/東方正教会/セルビア正教会の首座/セルビア総主教イリネイ聖下(ペーチ大主教 : ベオグラード・カルロヴツィ府主教 : His Holiness Irinej, Serbian Patriarch, Archbishop of Peć, Metropolitan of Belgrade and Karlovci)が、現在進行中の事態について「コンスタンティノープルの行動は長期に渡る亀裂を生み出す」とコメントしているようです。

 

 (英語)TASS: Society & Culture – Constantinople’s actions in Ukraine to trigger long-term rift, warns Serb patriarch

 

 もっとも、具体的な行動はというと、アンティオキア・東方全土総主教ヨウハンナ10世聖下(His Beatitude Patriarch John X of Antioch and All the East)とともに、「東方正教会の全体会合を呼びかける」声明を出すというなんの意味もないことくらいしかしていないので、これからも自分たちの教会に直接関係が出てこない限り何もしないと思われます。

 

関連:
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シスマ2018 (Spillover):キリスト教/ギリシャの東方正教会メディアΡΟΜΦΑΙΑ(Romfea.gr)が、ロシア人巡礼観光客のキャンセルが増加しているとの記事を掲載(2018年10月)

 ギリシャの東方正教会系メディアΡΟΜΦΑΙΑ(Romfea.gr)が、宗教的な場所を目的としたロシア人巡礼観光客のキャンセルが通常より増加しているという記事を出しています。

 

 (ギリシャ語)''Βουτιά'' στον θρησκευτικό τουρισμό μετά τη διαμάχη Φαναρίου – Μόσχας

 

 本当だとすれば、到着したとたんに相互破門になったりしたら塩をまかれるかもしれないという後ろ向きの考えでキャンセルする人が出ているのでしょう(もっとも今が最後のチャンスになるという前向き?な考えもありえますが)。

 記事によれば、キャンセルされている予定地として、アトス山(コンスタンティノープルの全地総主教庁の管轄権下)だけではなく、メテオラ修道院群なども含まれるようです。
 メテオラ修道院群は、全地総主教庁の管轄権下ではなく、ギリシャ正教会アテネ大主教庁の管轄権下だと思います(もしかしたら違うかもしれません)。もっとも一般のロシア人は、ギリシャ正教会がコンスタンティノープルの全地総主教庁から独立した存在だということを知らないかもしれませんが(そして独立しているとは到底いえない状況になってきていますが)。

 いずれにせよ、観光客の長期的な減少は経済にマイナスとなり、責任問題に発展する可能性もあります。
 もちろん、喉元過ぎれば熱さを忘れるということもありえます。しかし関係改善が見込めないどころか、相互破門 → 「彼らは教会から自発的に出ていった」論、というまだ二段階の悪化が残っている状況です。

 

 この記事ではありませんが、アトス山については、ロシア正教会の見解(ロシア正教会の信徒はアトス山では領聖を受けられない)に対する反論も出たのですが、内容が「アトス山が全地総主教庁の管轄権下にあるというのは儀礼的なものだ」という最近どこかで無視されたような理屈だったのでロシア側からはスルーされた模様です。

 

 ところで。
 実は数日前(10月19日付)に、ΡΟΜΦΑΙΑには観光に関する別の記事が出ています。

 (ギリシャ語)Ομιλία Μητροπολίτη Δωδώνης για τον Τουρισμό Ελλάδας-Ρωσίας στη Βουλή

 見出しからは、ギリシャ正教会のドドニ府主教クリソストモス座下(His Eminence Metropolitan Chryssostomos of Dodoni)が、「議会でロシア人のギリシャ観光についてスピーチ」と取れるので、これはもしやコミュニオン解除が原因でおおげさなことになっているのではと思ったら、実際は上院の建物でロシアとギリシャの観光関係に携わる政治家らが集まって(ざっくりいうと)「ここ数年のロシア人観光客増加はめでたいので、さらなる発展に向けてがんばりましょう」というようなことを話し合ったという内容で、コミュニオン解除にはまったく触れていません(ずっこけました)。
 予定があったから集まったのでしょうが、こう、なんというか、現場の空気が非常に気になる会合ではあります。

追記:
 なお、このクリソストモス座下ですが、今回のシスマでは完全に全地総主教庁支持者で、会合にこの人を呼んでいる時点で、なんだかひどい茶番臭がします。

 

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シスマ2018:イタリア紙がキリスト教/ロシア正教会ヴォロコラムスク府主教イラリオン座下にインタビュー「ウクライナの教会分裂の背後にアメリカの影」(2018年10月)「コンスタンティノープルは金を受け取ったと思うか?」という質問に「わからないが1924年のポーランドの時には彼らは受け取った」

  「世界代表司教会議(シノドス)第15回通常総会(テーマ:若者、信仰そして召命の識別)」に臨席及びローマ教皇フランシスコ聖下との会見のために同地を訪問中のキリスト教/東方正教会/ロシア正教会モスクワ総主教庁渉外局長ヴォロコラムスク府主教イラリオン座下(ヒラリオン府主教 : His Eminence Metropolitan Hilarion of Volokolamsk, chairman of the Moscow Patriarchate’s Department for External Church Relations (DECR))は、イタリア紙「Il Messaggero」からインタビューを受けた模様です。

 同紙の公式サイト(イタリア語)と、ロシア正教会の公式サイト(ロシア語)に記事がありますが、掲載されている内容が違います
 矛盾しているわけではないですが片方にしか掲載されていない内容や、表現の仕方や単語の選び方が明らかに別です。

 タイトルはイタリア紙側では「イラリオン府主教『ウクライナの教会分裂の背後にアメリカの影』」
 ロシア正教会側では「イラリオン府主教:ヨーロッパの全教会は同じ問題に直面している」という感じです(同じ問題というのは「世俗化」です)。

 

 なお、どちらにも掲載されていますが(ロシア側の表現をベースに簡単に書きますと)、

記者:バルソロメオス総主教は(独立を認めるかわりに)お金を受け取ったと思うか?
イラリオン府主教:私にはわからない。私がいえるのは、1924年にコンスタンティノープルがポーランド正教会の独立を認めた時には金が支払われたということだ。交わされた書簡に金額が書かれている

 ……と、いうような部分があります。ロシア系メディアが、コンスタンティノープルの全地総主教庁が今回の件で約28億円を受け取っていると報道していることに関連した質問ですが、効果のほどはわかりませんが真偽は受け流しつつ疑惑を深めることを狙ったコメントでしょう(いきなり巻き込まれたポーランド正教会はいい迷惑ですが)。

 

 (イタリア語)Il metropolita Hilarion: «L'ombra degli Usa dietro lo scisma della chiesa ucraina»

 (ロシア語:ロシア正教会モスクワ総主教庁渉外局公式サイト)Митрополит Волоколамский Иларион: Все христианские Церкви в Европе сегодня стоят перед одними и теми же вызовами | Русская Православная Церковь
 (ロシア語:ロシア正教会モスクワ総主教庁公式サイト)Митрополит Волоколамский Иларион: Все христианские Церкви в Европе сегодня стоят перед одними и теми же вызовами / Интервью / Патриархия.ru

 

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