キリスト教/“ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】”の“フィラレート総主教”が、ロシア系メディアのインタビューに答える(2019年7月)

 “ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】”の“フィラレート総主教”が、ロシア系メディア Россия 24 のインタビューに答えたようです。

 

Россия 24:
Ничего святого. Специальный репортаж Анны Афанасьевой – Россия 24 – YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=PmEncVFe9vE

 

 フィラレート総主教は、先月【2019年6月】、コンスタンティノープル系の“ウクライナ正教会【OCU】”を離脱しています。

※ただし、 OCU 側は、これまでの功績があるので、これからも OCU の主教であり続けるとしています。

 

 今回のインタビューでは、

  • コンスタンティノープルから OCU に渡された独立正教会として認めるトモスに関する問題というか不満の指摘(ウクライナ国外の管轄権を認めないことなどを含む)
  • ポロシェンコ大統領(当時)と“エピファニー府主教”に欺かれたこと(エピファニー府主教は対外的には OCU を代表するが、ウクライナ国内ではフィラレート総主教がトップを務めるという密約があったのに守られなかったというもの)

 という、前々から主張する点が述べられているようです。

 

  OCU 離脱からここまでの状況をみると、フィラレート総主教の影響力も尽きつつあるような気もしますが……。
 東方正教会全体がダメだということがはっきりしてきた以上、己の立場を主張し続けているうちに劇的に状況が変わる可能性もあります。

 

追記:
 ロシア系メディアの Interfax も文章で報じていますが、 OCU の報道担当は(自身の Facebook アカウントで)、フィラレート総主教は病気(?)のために自分のしていることがわからないままモスクワの手先になってしまっている、というようなことを発言しているようです(ちなみにフィラレート総主教は今年90歳で、 OCU 側はたびたび健康というか老人ボケの類の可能性の指摘をしていました)。

 (ロシア語)Интерфакс-Религия: ПЦУ объявила Филарета "союзником Москвы"
 (英語)Interfax-Religion: Filaret ‘Moscow’s ally’ – Orthodox Church of Ukraine

 OCU 側は、まさかフィラレート総主教がロシア系メディアのインタビューに答えるなどとは想定していなかったようですが、コンスタンティノープルともどもフィラレート総主教を甘く見過ぎていたのではないかと思います。
 ロシア正教会が主張するように、フィラレート総主教が反ロシアとなったのは、ロシア正教会内で首座のモスクワ総主教になれなかったからであって、 OCU 内で首座になれなかった現在、反 OCU のためにほかのすべてを利用するのはあり得たことです。
 エピファニー府主教は「破門はしない。我々はモスクワと違う」とフィラレート総主教を破門せず、それどころか OCU の主教であり続けるとしましたが、もはや埋伏の毒と化している状況で、このままにしておくのかどうか。

 

追記2:
 (英語)Zoria: Illness has changed Filaret beyond recognition – UOJ – the Union of Orthodox Journalists

 

関連:
 キリスト教/コンスタンティノープル系のウクライナ正教会【OCU】に合流していた“ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】”の“フィラレート総主教”が、独自に招集した会合で OCU 成立時の会合やコンスタンティノープルのトモスを拒否し UOC-KP の再興(?)を宣言(2019年6月)

 

キリスト教/ローマ教皇フランシスコ聖下と、ウクライナ東方典礼カトリック教会の首座/キエフ=ハリチ首位大司教スヴャトスラフ・シェウチューク大司教座下らの会見はじまる(2019年7月)

 2019年7月5日、キリスト教/ローマ・カトリック教会の首座/ローマ教皇聖座およびバチカン市国の絶対君主/ローマ教皇フランシスコ聖下(His Holiness Pope Francis)と、キリスト教/東方典礼カトリック教会/ウクライナ東方典礼カトリック教会の首座/キエフ=ハリチ首位大司教スヴャトスラフ・シェウチューク大司教座下(His Beatitude Archbishop Sviatoslav Shevchuk, Major Archbishop of Kiev-Galicia : キエフ大司教 : Archbishop of Kiev)らの会見が始まったようです。
 翌7月6日まで会談などがおこなわれる予定で、ウクライナ情勢などが話し合われるようです。

 プーチン大統領との会見直後に予定を入れている辺り、非常にヒリヒリしているものを感じます。

 また、スヴャトスラフ・シェウチューク座下は、少し前のインタビューで、自らの教会が「総大司教庁(総主教庁)【Patriarchate】」として認められる期待(新たにではなく昔からそうだったとして認められるという認識)を示していました。
 野次馬としては、こんな要求が認められれば欧州のキリスト教はさらにムチャクチャとなり、カトリックと東方正教会の関係も悪化というかちゃらんぽらんになるので、ぜひ見てみたいところですが……。
 ウクライナ国内の政治・社会・教会組織がこれほどの状況にもなって認められないとすると、今後認められる可能性はゼロだというのも確実なので、ウクライナ東方典礼カトリック教会側も引かないかもしれません。
 ウクライナに新たな剣が投げ込まれるか、少しだけ注目しましょう。

 

 (英語)Pope begins two day meeting with Ukrainian Greek-Catholic Church: Stay close to those who suffer | ROME REPORTS

ROME REPORTS in English:
Pope begins two day meeting with Ukrainian Greek-Catholic Church: Stay close to those who suffer – YouTube

 

 (英語:ローマ教皇聖座公式サイト)Audience with members of the Permanent Synod of the Ukrainian Greek-Catholic Church, 05.07.2019

 (バチカン・ニュース公式サイト)教皇、ウクライナのギリシャ典礼カトリックの司教らと – バチカン・ニュース
 (英語:バチカン・ニュース公式サイト)Ukrainian Greek-Catholic leaders meet with Pope at the Vatican – Vatican News
 (英語:バチカン・ニュース公式サイト)Pope to Ukrainian Greek-Catholics: I hold you in my heart – Vatican News

 

キリスト教/東方正教会の聖地アトス山が、コンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】の“聖職者”らがアトス山でナショナリズムに満ちた行為をおこなったことに関してギリシャ外相に抗議(2019年7月)

 キリスト教/東方正教会の聖地アトス山が、コンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】の“ミハイル府主教”らがアトス山でナショナリズムに満ちた行為をおこなったことに関して、ギリシャ共和国外務大臣ヨルゴス・カトルンガロス教授閣下(ゲオルギオス・カトルガロス外相 : Prof George【Georgios】【Giórgos】 Katrougalos)に抗議したようです。

 

 (英語)Protest of the Mount Athos community for a Ukrainian hierarch – Romfea News
 (英語)Sacred Community of Mount Athos protests actions and visit of schismatic Ukrainian “Metropolitan” / OrthoChristian.Com

 

 コンスタンティノープルがモスクワの影響力を排除しようとした結果、ギリシャはウクライナの属領と化してきているような気がします。ロシアや中国に対して政治的理由で遠慮するならまだしも、ウクライナにここまでバカにされるとは……。

 コンスタンティノープルがウクライナの“府主教”(コンスタンティノープルの認める教会法を適用しても教会法上合法な聖職者ではない人物)ごときにバカにされるとなれば、東方正教会はコント集団でしかないでしょう。
 最近のコンスタンティノープルの動きを“コンスタンティノープル真理教”と揶揄してきましたが、ウクライナ真理教と言い換える必要があるかもしれません。コンスタンティノープルは今回も OCU を大っぴらに批判することはないでしょう。自ら教会法をゴミ箱に捨てたコンスタンティノープルの末路……モスクワにバカにされる立場からウクライナの子分へ……早くローマに降伏しないと Patriarch(総主教/総大司教) と認めてもらえなくなるかもしれませんよ?

 聖地アトス山もウクライナのナショナリズムを宣伝する場へと堕落してしまい、ここを訪問するくらいならば漫画やアニメに登場した地域を“聖地巡礼”と称して旅行するほうが平和でまともでしょう。

 

キリスト教/コンスタンティノープルが、ウクライナに毎月30億円を要求していると、ロシア系メディアが報道(2019年7月)

 特にコメントしませんが、記事だけリンクしておきます。

 

 (英語)Pat. Bartholomew demands $28 million dollars a month from Ukrainian schismatics — sources allege / OrthoChristian.Com

 

キリスト教/アメリカ正教会【OCA】首座ティーホン府主教座下が、コンスタンティノープルの全地総主教バルソロメオス聖下を訪問(2019年6月)

 2019年6月23日、キリスト教/東方正教会/アメリカ正教会【OCA】の首座/ワシントン大主教、全アメリカ・カナダ府主教ティーホン座下(His Beatitude Metropolitan Tikhon of All America and Canada, Archbishop of Washington)は、キリスト教/東方正教会首席/コンスタンティノープル=新ローマ大主教・全地総主教バルソロメオス聖下(バーソロミュー1世世界総主教バルトロマイ1世ヴァルソロメオス1世 : His All-Holiness Bartholomew, Archbishop of Constantinople-New Rome and Ecumenical Patriarch)を訪問し、共同で礼拝をおこなった模様です。コンスタンティノープルのレロス・カリムノス・アスティパレア府主教パイシオス座下(His Eminence Metropolitan Paisios of Leros Kalymnos and Astypalaia)も共同で礼拝。

 

 (英語:アメリカ正教会【OCA】公式サイト)Metropolitan Tikhon guest of Ecumenical Patriarchate at annual pilgrimage to Cappadocia – Orthodox Church in America

Orthodox Church OCAさんのツイート: "Metropolitan Tikhon guest of Ecumenical Patriarchate at annual pilgrimage to Cappadocia https://t.co/EmEkl6vh3u… "

 

 コンスタンティノープルはアメリカ正教会を独立正教会として認めていませんが、アメリカ合衆国教会法上合法主教会議への参加を容認しており、また、どこかの独立正教会に属している集団としているわけではありません(つまりどう位置づけているか不明)。
 もっとも、コンスタンティノープルは、東方正教会に属している集団はすべて自分のところの手下だと認識していることが明らかになった現在、こんなことはどうでもいいことです。

 コンスタンティノープルとモスクワが完全に縁を切った場合、アメリカ正教会はコンスタンティノープルにつくとみられています。

 

追記:
 ロシアの正教会系メディア「OrthoChristian.Com」は、バルソロメオス聖下とティーホン座下の間に(ウクライナに関する)「裏取引」がおこなわれたという噂を否定しています。

 (英語)Rumors of “back room deals” during Constantinople-OCA concelebration unfounded, sources say / OrthoChristian.Com

 噂自体を知らないのでなんとも言えませんが……。

 ただ、コンスタンティノープルのアメリカ大主教の着座式がおこなわれている時期にぶつけたかのように、 OCA の首座をコンスタンティノープルが招待した(アメリカを離れさせた)というのは、理由がよくわからないところではあります。

 また、ギリシャの正教会系メディアでは(あまりチェックしていませんが)今回の訪問自体を報じていないようにみえます。
 もしかしたら彼らは OCA の存在自体を知らないのかもしれませんが……。