キリスト教/“モンテネグロ正教会”の“ミハイロ府主教”が、コンスタンティノープルからの独立正教会としての承認に自信をみせたとの報道(2020年1月)

 キリスト教/東方正教会の教会法上合法な教会に属さない(または主流のグループに属さない)“モンテネグロ正教会(MOC)”首座の“ミハイロ府主教”(ツェティニェ大主教・モンテネグロ府主教ミハイロ座下 : His Beatitude Mihailo, Archbishop of Cetinje and Montenegrin Metropolitan)は、コンスタンティノープルの全地総主教庁から独立正教会として認めるトモスを取得することに自信をみせたとの報道。
 コンスタンティノープル側は、モンテネグロはセルビア正教会の管轄権下にあるとしてたびたび否定していますが、彼ら自身のいうことはまったくあてにならないので渡すかもしれませんとしか……。

※ミハイロ府主教は、ついでに「マケドニア正教会-オフリド大主教庁【MOC-OA】もトモスをもらえるだろう」というように受け取れるように発言しているように書かれていますが、マケドニア正教会のほうは本当に交渉しています

 

 (英語)Mass media: Head of “Montenegrin church” says his structure would get Tomos – UOJ – the Union of Orthodox Journalists

 

関連:
 モンテネグロ議会が野党議員を18人ほど拘束してキリスト教/セルビア正教会の教会財産を大量に接収するための新法を成立(2019年12月)

 

キリスト教/“モンテネグロ正教会”の“ミハイロ府主教”が、イタリア王妃エレナ(モンテネグロ出身)の彫像設置のためモンテネグロを訪問したイタリア王室(直系)継嗣ヴェネツィア公エマヌエーレ・フィリベルト殿下と会見・同行(2019年9月)

※この記事は世界の王室ニュースと一部重複します。

 

 キリスト教/東方正教会の教会法上合法な教会に属さない(または主流のグループに属さない)“モンテネグロ正教会(MOC)”首座の“ミハイロ府主教”(ツェティニェ大主教・モンテネグロ府主教ミハイロ座下 : His Beatitude Mihailo, Archbishop of Cetinje and Montenegrin Metropolitan)は、曾祖母の故イタリア王妃エレナ陛下(Her Majesty Queen Elena of Italy : モンテネグロ出身)の彫像設置のためにモンテネグロを訪問したイタリア王室継嗣のヴェネツィア公/ピエモンテ公/サヴォイア公子エマヌエーレ・フィリベルト殿下(His Royal Highness Prince Emanuele Filiberto of Savoy, Prince of Venice and Piedmont)と会見、同行しました。

 

 エマヌエーレ・フィリベルト殿下とモンテネグロ文化大臣のアレクサンダル・ボグダノヴィッチ閣下(Aleksandar Bogdanović)の会見:

会談と、その後の大臣と殿下それぞれのコメント。殿下のコメントは4:49辺りから、
冒頭などで出てくる白ヒゲの聖職者がミハイロ府主教/
Ministarstvo kulture Crne Gore(モンテネグロ文化省公式チャンネル):
2019 09 07 Cetinje – Ministar kulture Aleksandar Bogdanović – Princ Emanuel Filiberto di Savoja – YouTube

 

向かって左から、エマヌエーレ・フィリベルト殿下、ミハイロ府主教、文化大臣:
Aleksandar Bogdanović – Princ Emanuel Filiberto di Savoja,… | Flickr
Aleksandar Bogdanović - Princ Emanuel Filiberto di Savoja, Cetinje

 

 (モンテネグロ語【セルビア語】ラテン文字:モンテネグロ文化省公式サイト)Detalji | Ministarstvo kulture podržava inicijativu o podizanju spomenika kraljici Jeleni u Podgorici
 (写真)Aleksandar Bogdanović – Princ Emanuel Filiberto di Savoja, Cetinje (07.09.2019.) | Flickr

 

 

 エマヌエーレ・フィリベルト殿下とポドゴリツァ市長イヴァン・ヴコヴィッチ閣下(Ivan Vuković)の会見(ミハイロ府主教が同行):

 (モンテネグロ語【セルビア語】ラテン文字:写真あり)Podrška Glavnog grada za podizanje spomenika kraljici Jeleni – Glavni Grad Podgorica

📢|Podrška Glavnog grada za podizanje… – Glavni grad Podgorica | Facebook

Con il sindaco di Podgorica per… – Emanuele Filiberto | Facebook

 

 

エマヌエーレ・フィリベルト殿下と“モンテネグロ正教会(MOC)”のコトルの教区の聖職者ら:
ПОĆЕТА ПРИНЦА ЕМАНУЕЛА ФИЛБЕРТА… – Епископија Которско-приморска – ЦПЦ | Facebook

 

エマヌエーレ・フィリベルト殿下、モンテネグロ駐箚イタリア共和国特命全権大使、ミハイロ府主教:
Con SE l’Ambasciatore d’Italia in… – Emanuele Filiberto | Facebook

 

追記:
 記事が二つ出ていたのでリンク。

 (英語)Prince Emanuele Filiberto di Savoia: Montenegro has great potential – CdM
 (モンテネグロ語:セルビア語ラテン文字)Crna Gora je preporođena država | Analitika – Informativni Portal

 記事によれば、今回の訪問はミハイロ府主教の招待によるもののようです。なぜか“モンテネグロ正教会”と関係が深いようです。
 モンテネグロ政府の協力などは、対セルビアの戦略の一環でしょうか。
 また、セルビア正教会と“モンテネグロ正教会”との問題について殿下は、知識がないとしてコメントを控えたようです。

 

キリスト教/セルビア正教会の重鎮モンテネグロ・プリモルスカ府主教アンフィロヒイェ座下が、「ローマでもコンスタンティノープルでもなく、エルサレムがすべての教会の母」(2019年7月)

 ロシアのタス通信【ТАСС / TASS】が、キリスト教/セルビア正教会/モンテネグロ・プリモルスカ府主教アンフィロヒイェ座下(His Eminence Metropolitan Amfilohije of Montenegro and the Littoral)へのインタビューを複数回記事にしています。
 その内容に関してのほとんどは、今まで主張されてきたものですが(モンテネグロのジュカノヴィッチ大統領はチトー主義者で無神論者なのに教会を作ろうとしている、など)、一部に注目すべき内容があります。

 

 (ロシア語:ほかにも記事があります)Митрополит: попытка повторить украинский раскол на Балканах станет объявлением войны СПЦ – Общество – ТАСС

 (英語)SOC hierarch: Jerusalem's mother of all Churches not Rome or Constantinople – UOJ – the Union of Orthodox Journalists

 

 タス通信の記事が複数で長いのですべて読めていないのですが、その一分を引用している UOJ の英語記事によりますと(訳が少しあやしいですが)、アンフィロヒイェ座下は、ローマ皇帝コンスタンティヌス1世より前の時代に戻るべきであり、すべての問題は公会議によって解決されるべきと主張しているようです。

 

 また、ローマでもコンスタンティノープルでもなく、東方正教会のすべての教会の母はエルサレムであるとしています。

 最近、エルサレム総主教庁の聖職者から、「エルサレムはすべての教会の母」という文言が挨拶に盛られることが多いのですが、今回のアンフィロヒイェ座下のコメントはそれを支持するかのようにも見えます。

 ただ、エルサレム総主教庁およびアンフィロヒイェ座下のコメントにどのような意味が込められているのかは、いまだはっきりとしない段階です。
 比喩的に用いられるならさして問題とならないものですが、「だからコンスタンティノープルではなくエルサレムが首位となるべき」というのであればこれはまた一つ大問題の発生でしょう。
 しかし、繰り返しますが、現状ではエルサレム総主教庁およびアンフィロヒイェ座下のコメントにどのような意味が込められているのかははっきりしません。

 

キリスト教/コンスタンティノープルとコンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】の府主教らが、教会法上非合法な“モンテネグロ正教会【MOC】”の聖職者と共同礼拝をしていた【2019年5月】と報道(2019年6月)

 2019年5月26日に、キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープルのフランス府主教エマニュエル座下(His Eminence Metropolitan Emmanuel of France)、コンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】の首座“エピファニー府主教”らが、教会法上非合法な“モンテネグロ正教会【MOC】”の聖職者と共同で礼拝をおこなっていたと正教会系メディアが報道しています。

 モンテネグロを管轄権下に置くセルビア正教会は(どの程度の強さかわかりませんが)事態に関して不快感を表明、コンスタンティノープル側は「(MOCの参加を)知らなかった」としているようではありますが……。

 

ギリシャ系メディア:
 (英語)Representative of the schismatic “Montenegrin Orthodox Church” in the Divine Liturgy in Kiev – Romfea News

Romfea.newsさんのツイート: "A representative of the so-called schismatic “Montenegrin Orthodox Church” concelebrated the Divine Liturgy on May 26, in Kiev #romfeanews https://t.co/QNXgbEuJpG"

 

 (ギリシャ語:英語版より現在のところ長文)Σχισματικός κληρικός του Μαυροβουνίου συλλειτούργησε στο Κίεβο

 

ロシア系メディア:
 (英語)Constantinople hierarchs concelebrate with cleric from schismatic Montenegrin church / OrthoChristian.Com
 (英語)OCU and Phanar hierarchs concelebrate in Kiev with Montenegrin schismatics – UOJ – the Union of Orthodox Journalists

 

 付言しておけば、OCU のほうは、前身の一つである“ウクライナ正教会キエフ総主教庁【UOC-KP】”が MOC とコミュニオンの状態にありました。
 OCU の成立に伴い、 UOC-KP は解体されたことになっていましたが、 UOC-KP のコミュニオンがどうなったかについてはなにも言及はなく、現在の OCU もまた、MOC とコミュニオンの状態にあると OCU の聖職者ら自身が認識しているということなのかもしれません。
 ただ、エピファニー府主教と対立をはじめ反コンスタンティノープル色を鮮明にしている“フィラレート名誉総主教”が「UOC-KP は解体されていない・存続しているしし続ける」と言明している現在において、エピファニー府主教らが UOC-KP 時代のコミュニオンをコンスタンティノープルの意向に逆らって尊重するとも思えません。
 コンスタンティノープル側の意向を断言できる段階ではありませんが、 OCU の聖職者らは、コンスタンティノープルが MOC を独立正教会として認めると確信しているということなのでしょう。

 

キリスト教/セルビア正教会の重鎮モンテネグロ・プリモルスカ府主教アンフィロヒイェ座下へのインタビュー記事(2018年9月)

 キリスト教/セルビア正教会/モンテネグロ・プリモルスカ府主教庁公式サイトに、セルビア共和国の「Политика(Politika)」によるモンテネグロ・プリモルスカ府主教アンフィロヒイェ座下(His Eminence Metropolitan Amfilohije of Montenegro and the Littoral)へのインタビュー記事が掲載されています。

※同ニュースの公式サイトに記事が見当たらないので、元記事は今のところ紙媒体なのかと思います。教会の公式サイトに転載したら意味ない気もしますが……。

 

 (セルビア語:セルビア正教会モンテネグロ・プリモルスカ府主教庁公式サイト)Политика: Интервју Митрополита црногорско-приморског г. Амфилохија | Православна Митрополија црногорско-приморска (Званични сајт)

 

 内容ですが、モンテネグロ政府との地所の返還かなにかに関する問題について、カトリックや、イスラム教、ユダヤ教も絡んで解決していない、という問題が最初に出ていますが、以降はモンテネグロ大統領ミロ・ジュカノヴィッチ閣下(His Excellency Mr Milo ĐukanovićМило Ђукановић)への批判、大統領への批判、そして大統領への批判、と最後に少しだけシスマの話という内容でした。
 シスマの内容メインかなと思ったんですが……まだまだ他人事のようです。

 大統領への批判の内容ですが、大統領がセルビア正教会のモンテネグロ・プリモルスカ府主教庁を「大セルビア主義」「ロシアの手先」などとしていることについて、大統領を「チトー系のマルクス主義者」「教会についてなにもわかっていない」と応酬しているようです。
 また、「私にとってはモンテネグロはペトロヴィッチ=ニェゴシュ王朝のニコラ1世王まで続く東方正教会の国だが、ジュカノヴィッチ大統領にとってはチトーによる反宗教・反東方正教会の国だ」というようなことも述べていると思います(モンテネグロ王国もチトーのユーゴスラビアも滅んでいるじゃないかということはさておき)。
 (ちなみに「大統領は私の友で、私の兄弟で、セルビア人の兄弟だ」とも述べています)

 セルビア共和国から“独立”したコソボについては極めて批判的かつ否定的(詳細がよくわかりませんが【読解力不足】、モンテネグロ人に関連する聖堂がいくつか破壊されたのだと思います)。

 

 さて、“シスマ”に関するコメントですが、

関連:
 【シスマ2018~】 ウクライナへの独立正教会設置を巡るコンスタンティノープルの全地総主教庁とロシア正教会モスクワ総主教庁の対立とそれに端を発した出来事の記事一覧

 末尾に少しだけあるだけです。
 記者がウクライナでの問題のモンテネグロへの影響を尋ねたのに対し、そもそも“キエフ総主教庁”が、モンテネグロにおける教会法上合法でない教会「モンテネグロ正教会(Montenegrin Orthodox Church : MOC : CPC)」とフル・コミュニオンの状態に、ずっと前になっていることを指摘しています。
 また、コンスタンティノープルの全地総主教バルソロメオス聖下は、ウクライナに独立正教会を設置しようとしているものの、仮にキエフ総主教庁が独立を認められても、それとフル・コミュニオンにある上記の「モンテネグロ正教会」の首座ミハイロ府主教との関係回復はありえないという見通しを述べています。
※ミハイロ府主教は、コンスタンティノープルの全地総主教庁から、 excommunication と anathema を受けており(要は完全に破門されており)、これの撤回はありえない、ということです。

 もっとも、これらの内容は、興味のある人ならだいたい知ってることであり、新しい情報はなに一つありません。
※あえていえば、“キエフ総主教庁”と「モンテネグロ正教会」のフル・コミュニオンが現時点でも継続しているであろうことが確認できたくらい。

 また、全地総主教とミハイロ府主教との関係回復はないとしていますが、個人的な意見としては、今の全地総主教庁ならなにをやっても不思議ではない気がします。

※もともとミハイロ府主教を主教に叙聖したのはブルガリア正教会から分離した「ブルガリア正教会代替シノド(Bulgarian Orthodox Church – Alternative Synod)」の主教だったと思いますが、このシノドがブルガリア正教会との関係正常化を図っていたはずで(どうなったのかいまいちわからないのですが)、仮に叙聖した主教がブルガリア正教会に戻っているとするとミハイロ府主教の主教叙聖が有効化される可能性があるかもしれません。