キリスト教/ベラルーシ正教会のパーヴェル府主教座下が、駐ベラルーシ日本国臨時代理大使 徳永博基 閣下と会見(2019年3月)

 2019年3月5日、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会からある程度自治的な権限を与えられているベラルーシ正教会【全ベラルーシにおける総主教代理区】の首座/ミンスク・ザスラーヴリ府主教パーヴェル座下は(His Eminence Metropolitan PaulPavel】of Minsk and Zaslavl, the Patriarchal Exarch of All Belarus)は、駐ベラルーシ日本国臨時代理大使徳永博基閣下(とくなが ひろきHiroki Tokunaga)と会見しました。

 文化交流の話と、贈り物の交換がおこなわれたようです。

 なお、ベラルーシ共和国について日本国は、これまで(モスクワに駐在する)ロシア連邦駐箚の特命全権大使が兼轄していました。
 ミンスクには徳永閣下が駐在していたのですが、特命全権大使ではなく単に「大使」と表記されているなど、宙ぶらりんな状況でしたが、在ベラルーシ日本国大使館が今年【2019年】1月1日に新設され、(徳永閣下がそうなるのかは知りませんが)単独の特命全権大使が任命されるものと思われます。

 

 (ロシア語:ベラルーシ正教会公式サイト)Состоялась встреча Патриаршего Экзарха с Послом Японии в Беларуси | Митрополит | Белорусская Православная Церковь | Новости | Официальный портал Белорусской Православной Церкви

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キリスト教/ロシア正教会モスクワ総主教キリル聖下の北朝鮮訪問が計画されているとのこと(2019年3月)

 ロシア連邦の Interfax (ロシア語版)によりますと、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会の首座/モスクワ・全ロシア【全ルーシ】総主教キリル聖下(キリール総主教 : His Holiness Kirill, Patriarch of Moscow and all Russia【Rus’】)の朝鮮民主主義人民共和国【北朝鮮】訪問が計画されているようです。
 総主教の広報が明らかにしたとのこと。

 3月3日(日曜日)に、タイ王国のバンコクにて、東南アジアにおける総主教代理/シンガポール・東南アジア府主教セルギイ座下(His Eminence Metropolitan Sergiy of Singapore and South-East Asia, Patriarchal Exarch in South-East Asia)が、朝鮮民主主義人民共和国国務委員会委員長金正恩閣下(キム・ジョンウン : His Excellency Mr Kim Jong Un)の招待によりキリル総主教が訪問するだろうと述べたことに関してのようです。

 

 (ロシア語)Интерфакс-Религия: Патриарх Кирилл посетит КНДР
 (英語)Interfax-Religion: Patriarch Kirill to visit North Korea

 

 ロシア正教会が設置した東南アジアにおける総主教代理区には、朝鮮教区が設置され、北朝鮮と韓国はともにこの教区に含まれます。

 今回の訪問はまだ詳細が決定していないようですが、金正恩閣下とアメリカ合衆国大統領ドナルド・トランプ閣下(The Honorable Donald J. Trump)のベトナム・ハノイでの会談が実に成果の無い状態で終わった後だけに、北朝鮮側がロシアとの連携を見せる狙いがあるのかもしれませんが……元からの予定であってなにも関係ないかもしれません

 

 コンスタンティノープルとモスクワの間が事実上決裂した昨年末に、キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープル=新ローマ大主教・全地総主教バルソロメオス聖下(バーソロミュー1世世界総主教バルトロマイ1世ヴァルソロメオス1世 : His All-Holiness Bartholomew, Archbishop of Constantinople-New Rome and Ecumenical Patriarch)が大韓民国を訪問し、大韓民国大統領文在寅閣下(ムン・ジェイン : His Excellency Mr Moon Jae-in)と会談しましたが、その際大統領はバルソロメオス総主教に対し非核化への協力を要請していました。
 一方、コンスタンティノープルの管轄権下に属する韓国正教会【正教朝鮮府主教庁】は、北朝鮮の平壌にロシアが建てた聖堂を自らの小教区と記したカレンダーを配布し、朝鮮民主主義人民共和国駐箚のロシア連邦特命全権大使が激怒のコメントを出すということがありました。非核化への協力(笑)
 大統領の発言が少々間抜けであっても国会議長のひどさに比べればたいしたことはないわけですが、それにして北朝鮮と融和したいのにロシアに唾を吐くというのは、正直なにがしたいのかよくわからなかったわけですが……トランプ・金正恩が成果なく終わり(ハノイ・ショックとか)動揺しているらしいので、単純になにひとつ現実を見ていないのではないかという気もします。

 また、ロシア正教会モスクワ総主教庁渉外局長ヴォロコラムスク府主教イラリオン座下(ヒラリオン府主教 : His Eminence Metropolitan Hilarion of Volokolamsk, chairman of the Moscow Patriarchate’s Department for External Church Relations (DECR))は、「無神論の国家である北朝鮮に我々の聖堂と小教区があるのに対し、韓国にはないというのはおかしいこと」と韓国への小教区設置に前向き、というかコンスタンティノープルとの対立の結果必然的な結論を述べていました。これがどうなったのかわかりません……まだ設置されていないと思うのですが……。
 現在の韓国の大統領らの動静を見ると、キリル総主教が金正恩国務委員長同志と会談した後だと、速やかにロシア正教会の小教区設置に協力するのではないかと思われます。
 しかし、それは、コンスタンティノープル(とその管轄権下に属する韓国正教会【正教朝鮮府主教庁】)の不満(なのかもっと大きな怒りなのかわかりませんが)を買うことにもなるでしょう。とはいえ、彼らの不満程度を気にするくらいなら、他に気にすることはもっとあるだろうということはさすがに大統領にもわかると思うので、つつがなく進行していくのではないでしょうか。

 

 そういうわけで、今回の訪問計画については、金正恩と仲の良いところを見せて韓国での聖堂や小教区設置を有利に運ぶのが目的ではないか、と思っています(繰り返しますが、もう設置しているかもしれません)。

 

キリスト教/アレクサンドリア・全アフリカ総主教セオドロス2世聖下がコンゴ共和国を訪問、コンゴ共和国大統領ドゥニ・サス・ンゲソ閣下と会見(2019年2月)

 2019年2月15日~2月19日の日程で、キリスト教/東方正教会/アレクサンドリア・全アフリカ総主教セオドロス2世聖下(His Beatitude Theodoros II, Pope and Patriarch of Alexandria and All Africa)は、コンゴ共和国を訪問。
 同庁より、バビロノス主教セオドロス座下が同行。
 また、同共和国では、コンゴ=ブラザビル・ガボン大主教パンテレイモン座下(His Eminence Panteleimon, Metropolitan Archbishop of Congo-Brazzaville and Gabon, Most Honored and Exarch of Atlantic Africa)や大臣・エジプト大使らが出迎え。
 その後、コンゴ共和国大統領ドゥニ・サス・ンゲソ閣下(ドニ・サスヌゲソ大統領Denis Sassou Nguesso)と会見したようです。

 

 (英語:コンゴ=ブラザビル・ガボン大主教区公式サイト)ARRIVAL OF THE ALEXANDRIAN PATRIARCHATE IN CONGO
 (英語:コンゴ=ブラザビル・ガボン大主教区公式サイト)MEETING WITH THE PRESIDENT OF THE REPUBLIC

 (英語:東方正教会アレクサンドリア総主教庁公式サイト)— [ Greek Orthodox ] — | ARRIVAL OF HIS BEATITUDE THE ALEXANDRIAN PATRIARCHATE IN CONGO-BRAZZAVILLE MEETING WITH THE PRESIDENT OF THE REPUBLIC

 (フランス語)Religion: le primat de l’église orthodoxe d’Alexandrie et de toute l’Afrique reçu par le président Denis Sassou N’Guesso | Congo Actuel

 (英語:セルビア正教会公式サイト)Alexandrian Patriarchate in Congo-Brazzavile | Serbian Orthodox Church [Official web site]

 

 (英語)Patriarch Theodore of Alexandria was received by President Denis Sassou Nguesso (Congo) ⋆ Orthodoxie.com

Orthodoxie.comさんのツイート: "Patriarch Theodore of Alexandria was received by President Denis Sassou Nguesso (Congo) https://t.co/bR9Cfy6t3J… "

 

キリスト教/ロシア正教会/東南アジアにおける総主教代理区の4教区設置が決定(2019年2月)

 2019年2月26日、キリスト教/ロシア正教会の聖シノドは、東南アジアにおける総主教代理区に4教区を設置することを決定した模様。
 東南アジアにおける総主教代理/シンガポール・東南アジア府主教セルギイ座下(His Eminence Metropolitan Sergiy of Singapore and South-East Asia, Patriarchal Exarch in South-East Asia)がうち1教区である「シンガポール・東南アジア教区(シンガポール・インドネシア・マレーシア)」を管理するのに加え、残る「朝鮮教区(北朝鮮及び大韓民国)【朝鮮主教】」「タイ王国教区(タイ王国・カンボジア王国・ラオス)【バンコク・プノンペン主教】」「フィリピン・ベトナム教区(フィリピン・ベトナム)【マニラ・ハノイ主教】」も当面のところその管理下に置かれるようです。

 

 (ロシア語:ロシア正教会モスクワ総主教庁公式サイト)Образованы епархии в составе Патриаршего экзархата в Юго-Восточной Азии / Новости / Патриархия.ru

 (英語)Interfax-Religion: Russian Orthodox Church to set up 4 dioceses in SE. Asia
 (ロシア語)Интерфакс-Религия: Синод РПЦ создал четыре епархии в Юго-Восточной Азии

 

 あわただしく設置された「東南アジアにおける総主教代理区」ですが、その中は4教区で構成されることになりました。
 区割りなどは、また主教が選ばれるなどなんらかのタイミングで変わる可能性もあるでしょう。

 また、タイ王国にあった総主教庁下の小教区は、タイ王国教区の設置に伴い、解消となるようです。

 

インタビュー記事(ロシア語):キリスト教/コンスタンティノープル管轄権下からの事実上の離脱を決めた西欧ロシア正教会大主教区のジャン【イオアン】大主教座下「理想的な教会は無い。ローマ・カトリック教会の現状を見るがいい」(2019年2月)

 2019年2月23日に臨時総会【EGA】がおこなわれ、事実上、キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープルからの離脱を決定した西欧ロシア正教会大主教区。

 この大主教区は、もともとロシア帝国崩壊後のソ連での弾圧から逃れた人々らにより結成され、その後ロシア正教会モスクワ総主教庁を完全に離れてコンスタンティノープルの管轄権下に入っていたものです(ものすごく簡単にいいましたが)。
 1999年には、コンスタンティノープルより総主教代理区として認めるトモスを与えられましたが、2018年11月27日にコンスタンティノープルより突如として一方的に廃止を宣告されました。また、これは大主教区自体の廃止を要求するものでした。
 一方、大主教区側は、これに対し、総主教代理区として認めるかどうかはコンスタンティノープルが決めるものだが、大主教区の将来を決めるのは大主教区自体の総会【GA : General Assembly】であるとし、2019年2月23日、臨時総会【EGA : Extraordinary General Assembly】を開催、コンスタンティノープルからの要求を拒否することを投票で決定しています。
関連:
 キリスト教/コンスタンティノープル管轄下で一方的に総主教代理区としては廃止された西欧ロシア正教会大主教区の臨時総会が開催、集団としての解体を認めないと決定(2019年2月)

 また、これから大主教区が、コンスタンティノープルではないどこの教会法上合法な教会に属するかですが、ロシア正教会モスクワ総主教庁、(ロシア正教会の管轄権下で自治的な権限を保有する)在外ロシア正教会、ルーマニア正教会、アメリカ正教会【OCA】の名前が挙がっていました。

  Orthodoxie.com によりますと、投票でコンスタンティノープルの要求の拒否が決まった後、同大主教区のジャン大主教座下(イオアン大主教 : ハリオポリス大主教)は、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会のウィーン・ブダペスト大主教アントニー座下(His Eminence Archbishop Anthony【Antoniy】 of Vienna and Budapest)からの書簡を読み上げ、すでにロシア正教会モスクワ総主教庁との間の対話が進んでいることをあきらかにしています。
関連:
 キリスト教/コンスタンティノープル管轄下で一方的に総主教代理区としては廃止され、事実上の離脱を決定した西欧ロシア正教会大主教区は、すでにロシア正教会モスクワ総主教庁との話を進めている模様(2019年2月)

 今回、さらに別のメディアがジャン座下へのインタビューをおこなっています。

 (ロシア語)Парижский архиепископ о перспективе перехода к РПЦ: «Идеальных церквей нет» – РОССИЯ – RFI

 今までの状況の確認ですが、興味深いものになっています。

 新しく属する教会として連絡を取った先として(ロシア正教会以外)、在外ロシア正教会とルーマニア正教会へも連絡を取ったことがあきらかにされていますが、在外ロシア正教会では大主教区側の要求が通りにくそうなこと、ルーマニア正教会ははっきりしないようです。アメリカ正教会【OCA】については言及がありません。
※なお、ルーマニア正教会が前向きに検討しているとする報道もありますが……。

 また、現在の政治情勢のもとで、ロシア正教会の管轄権下に入ることについては、「政治とは距離を置くこと」という状況によっては厳しいもののよくある聖職者的なコメントに加え、ロシアの聖堂や修道院が復興していることに心動かされている様子がうかがわれます。
 加えて、離脱者が出る可能性についても認めています。西欧は自由な国々なので立ち去るのも自由ということですが……これは東方正教会の聖職者として果たして良いのかとも思われます。
 しかし、次のようなコメントも面白いところです。
「スキャンダルなどの問題はすべて教会にある。ローマ・カトリック教会の現状を見よ(このインタビューより時間としては後ですが、本日、オーストラリアの枢機卿が複数の児童への性的虐待で有罪宣告)」
「私はいつも楽園はここにはないと言っている。修道院も楽園ではない。地上には天国はない」
「もし我々がもっとも理想的な教会を求めてもそんなものはない。無人島で一人で過ごすしかない」

 インタビューの中で質問されていながらはっきりと答えられていないように思うのは、大主教区が教会法上合法な教会の中にあるべきなのか(つまり「完全に独立した宗教組織になってはいけないの?」)ということと、現在の状況で東方正教会の教会法上合法な教会とはなにか(モスクワがコンスタンティノープルとのフル・コミュニオンを解除している現状で、コンスタンティノープルがモスクワとのフル・コミュニオンを解除する可能性はあるわけですが、そうなってもモスクワは教会法上合法な教会なのか)というあたりでしょうか。