キリスト教/東方正教会/エルサレム総主教セオフィロス3世聖下が、ロシア正教会ヴォロコラムスク府主教アントニー座下と会見(2022年11月)

 2022年11月3日、キリスト教/東方正教会/エルサレム・全パレスチナ総主教セオフィロス3世聖下(His Beatitude Theophilos III, Patriarch of Jerusalem and All Palestine)は、同地を訪問中のキリスト教/東方正教会/ロシア正教会モスクワ総主教庁渉外局長ヴォロコラムスク府主教アントニー座下(His Eminence Metropolitan Anthony of Volokolamsk, Chairman of the Department for External Church Relations of the Moscow Patriarchate)と会見しました。
 エルサレム総主教庁側から、コンスタンティナ大主教アリスタルコス座下(Geronda Secretary-General Most Reverend Archbishop Aristarchos of Constantina)が同席。

 2022年11月5日、アントニー府主教は、アリスタルコス大主教のほか、
 ナザレ府主教キリアコス座下(The Most Reverend Kyriakos, Metropolitan of Nazareth)、
 カピトリアス府主教イサイヒオス座下(Patriarchal Commissioner Most Reverend Metropolitan Isychios【Isykhios】 of Kapitolias【Capitolias】)、
 セバスティア大主教セオドシオス座下(Archbishop Theodosios of Sebastia)
 らが、セオフィロス総主教の礼拝に参加しました。

 

 (英語:ロシア正教会 モスクワ総主教庁 渉外局 公式サイト)DECR chairman begins his working trip to the Holy Land
 (英語:ロシア正教会 モスクワ総主教庁 渉外局 公式サイト)Metropolitan Anthony of Volokolamsk takes part in festivities held by Patriarchate of Jerusalem

 

Jerusalem Patriarchate(エルサレム総主教庁 公式チャンネル):
Η ΕΟΡΤΗ ΤΟΥ ΑΓΙΟΥ ΙΑΚΩΒΟΥ ΤΟΥ ΑΔΕΛΦΟΘΕΟΥ ΣΤΟ ΠΑΤΡΙΑΡΧΕΙΟ – YouTube

 

JERUSALEM 2022.11.03 Visit of… – Jerusalem-Patriarchate | Facebook

 

Началась рабочая поездка председателя ОВЦС на Святую Землю… – Mospat.ru Официальный интернет-портал Отдела Внешних Церковных Связей МП | Facebook

 

Митрополит Волоколамский Антоний принял участие в торжествах Иерусалимского Патриархата… – Mospat.ru Официальный интернет-портал Отдела Внешних Церковных Связей МП | Facebook

キリスト教/ラトビア正教会“独立”問題:ラトビア政府議会による“独立”強制について、ラトビア正教会は(ロシア正教会から分離しての)教会分裂には陥っていないとのロシア正教会側の文書(2022年9月~10月)

 2022年9月5日、ラトビア共和国大統領エギルス・レヴィッツ閣下(His Excellency Egils Levits)は、ラトビア正教会の“独立”のための法改正を議会に求めました。
 この問題は、キリスト教の東方正教会の中で、ラトビア正教会は、ロシア正教会モスクワ総主教庁の管轄権下で自治的な権限を持っている教会であることが問題視されていることによります。
 つまり(政治的な文脈で言えば)大統領は、教会経由でのロシアの影響があるとの判断で、その影響を排除したい、ということです。

 

05.09.2022. Valsts prezidents paraksta grozījumus Latvijas Pareizticīgās Baznīcas likumā – YouTube

 

 (英語:ラトビア大統領府 公式サイト)Announcement by President of Latvia Egils Levits on Amendments to the Law on the Latvian Orthodox Church | Valsts prezidenta kanceleja

These amendments provide for the full recognition of the self-contained and independent (autocephalous) status of the Latvian Orthodox Church.

This is the status that was historically de facto established for our orthodox church by the 6(19) July 1921 Tomos issued by Patriarch of Moscow and all Russia Tikhon to Archbishop Jānis Pommers and the Cabinet of Ministers Regulation of 8 October 1926 on the Status of the Orthodox Church.

I can confirm that the Latvian Orthodox Church and Metropolitan Alexander can count on full support from the state of Latvia as an autocephalous church henceforth also recognised in law.

 

 大統領府 公式サイトによりますと、同大統領は、ラトビア正教会に、独立= independent (独立正教会= autocephalous )を求めています。
 またその根拠の一つを、1921年にロシア正教会の(聖)ティーホン総主教からヤーニス大主教に渡されたトモス(何かを許可する文書だと思ってください)に由来するとしています。

 

 ここで疑問が浮かびます。
 東方正教会の独立正教会= autocephalous についてです。
 これは現在、コンスタンティノープルおよびギリシャ系の諸教会は承認についてはコンスタンティノープルに全権があるかのように主張している状況です。
 一方で他の教会の多くはそれぞれの独立正教会が承認するものである、とみていると大雑把に言えばそうなります。
 いずれにせよ、ロシア正教会の一部にすぎないラトビア正教会について、国が認めたら独立正教会になるというのはムチャですが、現在のロシア・ウクライナの状況でその判断がムチャクチャといえるかは結果次第でしょう。
 この結果次第というのは、前述のコンスタンティノープルとポロシェンコ元大統領が2018年にウクライナで強引なことをやらかした結果、ウクライナの正教会は混乱の極みにあるからです。
 ラトビア政府がコンスタンティノープルとこの後からむかどうかはわかりませんが、上記リンクのアナウンスからは特に読み取れません。
 コンスタンティノープルと関わると混乱が増すだけのような気もしますが、今のままでは正統性がないことはラトビア側もわかっているでしょう。大統領府の文章でも de facto の単語を使用していることからもわかるように、1921年のトモスは決して独立を認めたものではないということです(そもそも1921年のトモス自体になにが書かれていたかはっきりわかりませんが……)。

 

 続いて、
 (英語:ラトビア議会【サエイマ】公式サイト)Saeima affirms independence of Latvian Orthodox Church from any ecclesiastical authority outside Latvia – Latvijas Republikas Saeima

On Thursday, 8 September, the Saeima adopted urgent amendments to the Law on the Latvian Orthodox Church affirming the full independence of the Latvian Orthodox Church with all its dioceses, parishes, and institutions from any church authority outside Latvia (autocephalous church).

According to the explanatory note to the Draft Law, the definition of the scope of legal status in the Law does not affect or interfere with the Church’s doctrine of faith and canon law.

 レヴィッツ大統領が議会に送ったラトビア正教会の“独立”のための法改正案をラトビア議会【サエイマ】は承認しました。
 上記の文章からわかる通り、彼らはこの法が、教義や信仰・教会法に影響や介入するものではないとしています。
 が、その教会が独立正教会 = autocephalous church かどうかというのは、まさに教会法に属する事柄です。
 ロシア正教会モスクワ総主教庁は、ラトビアのこの対応を中世以下と酷評しています。

 (英語)Interfax-Religion: Russian Orthodox Church on declaration of Latvian Church’s autocephaly by parliament: they surpassed Middle Ages

 ドイツの16世紀より悪い、という意です。
 もっとも16世紀のドイツを持ち出すのが良い反論とは感じませんが。

 

 さらに、
 (ロシア語:ラトビア正教会 公式サイト)Официальный сайт Латвийской Православной Церкви | О изменениях в Законе о Латвийской Православной Церкви

 上記を受けて(当初は)否定的な見解を出していたラトビア正教会は法律に従い独立正教会 = autocephalous church となる/を称することを受け入れたようです。

 もちろんのこと、東方正教会の他の独立正教会がどこも認めない限りは、独立正教会として他の教会から扱われることはありませんが……。

 

 さて、その後、具体的にどうなっていたかですが、
 (英語)ROC to Latvians: Patriarch Kirill still commemorated, state-declared autocephaly is purely legal, not canonical / OrthoChristian.Com

 上記の報道によれば、ロシア正教会のクルチツィ・コロムナ府主教パーヴェル座下(His Eminence Metropolitan Pavel of Krutitsa and Kolomna)が、ラトビア正教会は、ロシア正教会の首座/モスクワ総主教キリル聖下を自分たちの教会の首座として名を挙げて礼拝をおこなっており、教会分裂の状態にはないとの文書をラトビアの信徒らに対して出した、ということです。
 これはつまり、ラトビア政府議会がいう独立正教会という単語は、教会法上の独立正教会とはなんの関係もないので気にせずに活動がおこなわれている、といっていいのかもしれません。
 もちろん、議会自体が「教会法には影響しない」といっているので、同じ単語を使っていても教会法には関係ないということになるともいえます。
 しかしこれでは、ラトビア政府議会のおこなったことは、何の意味もなかったということになります。
 大統領がキリル総主教にあらためて独立正教会の承認を求めているという話もありますが、たしかにこれでは他に手はないといえるかもしれません。

追記:
 10月31日までにラトビア正教会の憲章の改定が要求されており、その内容次第になるとは思われます。

 

続報:
 キリスト教/ロシア正教会から、分離して独立正教会であることを宣言したラトビア正教会が独自に主教を叙聖(2023年8月)ロシア正教会の聖シノドは反発

キリスト教/シリア東方典礼カトリック教会首座/アンティオキア総大司教イグナティウス・ヨセフ3世ヨナン座下が、トルコ大統領エルドアン閣下を訪問(2022年10月)

 2022年10月17日、キリスト教/東方典礼カトリック教会/シリア東方典礼カトリック教会(シリア・カトリック教会)の首座/アンティオキア・東方全土総大司教“モラン”・“モル”・イグナティウス・ヨセフ3世ヨナン座下(His Beatitude Patriarch Moran Mor Ignatius Youssef III Younan, the Patriarch of Antioch and All the East for Syriac Catholic Church)は、トルコ共和国大統領レジェップ・タイップ・エルドアン閣下(His Excellency Mr Recep Tayyip Erdoğan)を訪問しました。

 総大司教庁の公式サイトによりますと、エルドアン大統領からは、シリア人は他の人々と同じようにトルコを構成しているという旨が語られ、総大司教からはトルコ側の中東の安定への感謝が述べられたようです。

 シリア東方典礼カトリック教会側から、
 アレッポ大司教“モル”・ディオニシウス・アントワーヌ・シャーダ座下(Mor Dionysius Antoine Shahda, Archbishop of Aleppo)、
 アメリカ合衆国教区司教“モル”・バルナバス・ユセフ・ハバシュ座下(Mor Barnabas Youssef Habash, Bishop of Our Lady of Deliverance in the United States)、
 バグダッド大司教“モル”・エフレム・ユセフ・アバ座下(Mor Ephrem Youssef Aba, Archbishop of Baghdad and Patriarchal Administrator of the Diocese of Mosul and its Dependencies, and the Secretary of the Synod)、
 トルコにおける総大司教代理オルハン・アブデュルアハド・チャンリ神父(Father Orhan Abdulahad Çanli, Patriarchal Exarch of Turkey)、
 らが同行。

 トルコ側から内務大臣スレイマン・ソイル閣下が同席したようです。

 

 (アラビア語:シリア東方典礼カトリック教会アンティオキア総大司教庁 公式サイト)Syriac Catholic Patriarchate Official Website | غبطة أبينا البطريرك يقوم بزيارة رسمية إلى فخامة رئيس الجمهورية التركية السيّد رجب طيّب أردوغان، القصر الرئاسي في أنقرة – تركيا

 (英語:トルコ大統領府 公式サイト)Presidency Of The Republic Of Turkey : President Erdoğan receives Patriarch of the Syriac Catholic Church

 (英語)Turkish president receives Syriac Catholic patriarch

 

Presidency of the Republic of TürkiyeさんはTwitterを使っています: 「President @RTErdogan received Patriarch of the Syriac Catholic Church Ignatius Ephrem Joseph III Younan and his accompanying delegation at the Presidential Complex. https://t.co/YawyZ9qOw0」 / Twitter

 

ANADOLU AGENCYさんはTwitterを使っています: 「Turkish president receives Syriac Catholic patriarch https://t.co/ugVq4lSqUv https://t.co/cEF2jwjlQm」 / Twitter

キリスト教/ローマ教皇フランシスコ聖下が、ロシア正教会ヴォロコラムスク府主教アントニー座下と会見(2022年8月)

 2022年8月5日、キリスト教/ローマ教皇フランシスコ聖下(His Holiness Pope Francis)は、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会モスクワ総主教庁渉外局長ヴォロコラムスク府主教アントニー座下(His Eminence Metropolitan Anthony of Volokolamsk, Chairman of the Department for External Church Relations of the Moscow Patriarchate)と会見しました。

 

 (英語:ロシア正教会モスクワ総主教庁渉外局 公式サイト)Metropolitan Anthony of Volokolamsk meets with Pope Francis of Rome

 

Synodal Times:
Ahead of trip to Kazakhstan, Pope Francis meets with Russian Orthodox Metropolitan Anthony | Synodal – YouTube

キリスト教/アルメニア東方典礼カトリック教会首座/キリキア総大司教カトリコスに、ラファエル・ベドロス21世ミナシャン座下が選出される(2021年9月)

 2021年9月23日、帰天したグリゴル・ベドロス20世ガブロヤン座下の後任となるキリスト教/ローマ・カトリック教会/東方典礼カトリック教会/アルメニア東方典礼カトリック教会首座/キリキア総大司教カトリコスの選出がおこなわれ、ラファエル・ベドロス21世ミナシャン座下(ベイルート司教 : His Beatitude Patriarch Raphaël Bedros XXI Minassian, I.C.P.B., Patriarch Catholicos of Cilicia, Bishop of Beirut)が新たな首座となりました。

 

Synodal Times:
New Catholicos | Patriarch of Cilicia | Raphaël Bedros XXI Minassian | Catholic Time | 24.09.2021 – YouTube

 (英語:バチカンニュース)Armenian Synod elects new Catholicos-Patriarch of Cilicia – Vatican News

追記:
 同日、ローマ教皇により承認、2022年10月24日に着座。
 (イタリア語:バチカンニュース)Minassian: il Libano soffre, mi metto a servizio per curarne i bisogni – Vatican News