キリスト教/ギリシャの正教会系メディアRomfeaが、ギリシャ正教会の司祭(詳細不明)がコンスタンティノープル系のウクライナ正教会【OCU】で主教に叙聖される見込みと報道(2019年5月)ギリシャ人優遇策によりギリシャ人系教会がOCU承認へ動く可能性高まる

 見出しで書いた通りです。
「ギリシャ人優遇によりギリシャ人系教会が OCU 承認へ動く可能性高まる」というのも、本当にそういう主旨の文章が Romfea にあります。まあ、優遇とまでは書いていませんが、ワイロ的人事なのは明らかでしょう。
 ギリシャ正教会は OCU を承認していないのにその司祭が承認もしていない教会で“主教”になるとは教会法はどこへいったのか、といいたくもなりますが、しかし「ギリシャ正教はギリシャ人がしいというえ」なので、ギリシャ人が優遇されれば教会法はどうでもいいのです。
 なので、ギリシャ人系教会が OCU 承認へ動く可能性は高まったというか、たぶん承認するでしょう。
 ロシア正教会側の対抗策がどうなるのか、正直、特に手が無いように思いますが……。東方正教会はもう滅んでしまったし、何もしなくてもいいのかもしれません。

 

 (英語)One step away from the election of a Greek Bishop in Ukraine – Romfea News

However, it may can act as a catalyst both to promote closer relations with all Greek-speaking Patriarchates and Churches and to confer a ecumenical status to the newly established Church of Ukraine.

 

追記:
 ロシアの正教会系メディアには、上記の直接の“移籍”(コミュニオン状態にないギリシャ正教会からOCUへの移動というムチャクチャ)を避けるために、一度コンスタンティノープルへ移籍してから OCU に移籍するのではないかという説(?)が出ています。つまり、ギリシャとコンスタンティノープルはコミュニオン状態にあるのでその間の移籍に問題はなく、コンスタンティノープルと OCU もコミュニオン状態にあるのでその間の移籍には問題がない、メデタシメデタシということです。
 しかし、ロシア側のこのような見立て(コンスタンティノープルはルールをなるべく守ってくるに違いない)がここまでほとんどのところハズレているので、逆にギリシャ正教会に圧力をかけて直で OCU に移籍させるのではないかと思えてきますね。

追記2:
 別のロシアの正教会系メディアが、この司祭は、ギリシャ正教会アテネ大主教庁の管轄権下にあるわけでなく、コンスタンティノープルがギリシャ共和国内に保有している管轄権下の府主教庁のいずれかに属しているのではないか、としています。
 この場合、上記の“移籍”の問題は発生しませんが……。

追記3:
 ロシアの正教会系メディアが、上記の司祭はエピファニウス掌院(?)としています。ギリシャ正教会【Church of Greece】所属で、 OCU では“マリウポリ主教”になるとしていますが、教区を管轄するのか、マリウポリで補佐的な主教を務めるのかは不明とのこと。

 今のところ、この掌院をめぐる動きについて、アテネ大主教庁が把握しているのかどうかもよくわからないです。

 

キリスト教/アルメニア使徒教会カトリコスのガレギン2世聖下が、ジョージア大統領【グルジア大統領】サロメ・ズラビシヴィリ閣下と会見(2019年3月)

 2019年3月14日、キリスト教/オリエント正教会/アルメニア使徒教会/全アルメニア人のカトリコス・最高総主教ガレギン2世聖下(His Holiness Karekin IIGaregin II】, Supreme Patriarch and Catholicos of All Armenians)は聖エチミアジン母座にて、アルメニア共和国を公式訪問中のジョージア大統領【グルジア大統領】サロメ・ズラビシヴィリ閣下(ズラビシュヴィリ大統領 : Her Excellency Ms Salome Zourabichvili)と会見しました。

 アルメニア使徒教会より、
 聖エチミアジン母座/渉外儀典局長ナタン・ホヴァニシャン大主教座下(His Eminence Archbishop Nathan Hovhannisyan, Director of the External Relations and Protocol Department of the Mother See)、
 ジョージア教区首座ヴァスケン・ミルザハニャン主教座下(His Grace Bishop Vasken Mirzakhanyan, Armenian Primate of the Diocese of Georgia)、
 及び特命全権大使らが同席した模様。

 会談中、ガレギン2世聖下から大統領に対して、キリスト教/東方正教会/ジョージア正教会【グルジア正教会】の首座/全ジョージアのカトリコス=総主教イリア2世聖下(イリヤ2世 : His Holiness Catholicos-Patriarch Ilia II of All Georgia)への挨拶がされたようです。
追記:
 ロシア系メディアの Interfax によりますと、
 (ロシア語)Интерфакс-Религия: Президент Грузии призвала Армянскую церковь изменить решение о подчинении приходов в Абхазии
Interfax-Religion: Georgian president calls on Armenian Church to change its mind regarding subordination of Abkhazian parishes
 アルメニア使徒教会が、アブハジアの管轄について、ロシア南部教区に編入するとしたことを受けて、大統領側からこれに対する懸念が表明されたようです。ジョージア教区に含まれるか、さもなければガレギン2世聖下の直轄とするべきとのこと。
 これに答えて、ガレギン2世聖下は、アルメニア使徒教会ではアブハジアはジョージア教区の管轄権下に含まれ、ロシア南部教区への編入は一時的なものと回答したということです。
 結局なんだったのかという話ですが……。もしやロシア側の、とりあえず編入を発表して反応を見てほしいという意向でも受けていたのか……?
 なお、東方正教会のほうでは、もちろんアブハジアはジョージア正教会の管轄権下に含まれますが、事実上独立した教会であるアブハジア正教会はロシア正教会モスクワ総主教庁の管轄権下に正式に入ることを希望しています。コンスタンティノープルとモスクワのシスマを生んだコンスタンティノープル側が設立した「ウクライナ正教会」をジョージア正教会が承認するかどうかですが、承認した場合、モスクワ側はフル・コミュニオンを解除し、アブハジア正教会を迎え入れ、そしてこのことによりもはや両教会の関係回復はなくなり、ロシア・ジョージア間の政治・外交レベルでの関係も悪化するでしょう。

 

Armenian Church(アルメニア使徒教会 聖エチミアジン母座 公式チャンネル):
Catholicos of All Armenians Received President of Georgia – YouTube

 

 (英語:アルメニア使徒教会 聖エチミアジン母座 公式サイト)The Armenian Church – Mother See of Holy Etchmiadzin | Catholicos of All Armenians Received President of Georgia
 (アルメニア語:アルメニア使徒教会 聖エチミアジン母座 公式サイト)The Armenian Church – Մայր Աթոռ Սուրբ Էջմիածին | Ամենայն Հայոց Կաթողիկոսն ընդունեց Վրաստանի նախագահին

 

Catholicos of All Armenians Received… – Մայր Աթոռ Սուրբ Էջմիածին/ Mother See of Holy Etchmiadzin | Facebook

 

Salome Zourabichviliさんのツイート: "What an honor to meet with His Holiness Karekin II, Catholicos of All Armenians, at the #Etchmiadzin Cathedral.… "

 

გადაწყვეტილება, აფხაზეთში მდებარე… – სალომე ზურაბიშვილი / Salome Zourabichvili | Facebook

 

Salome Zourabichviliさん(@salome_zourabichvili) • Instagram写真と動画

 

キリスト教/ギリシャ正教会聖シノド会合が終了(2019年3月7日)2019年3月19日から会合を開くことを決定

 キリスト教/東方正教会/ギリシャ正教会の聖シノドの会合が終了しましたが、大したことは決まらず、2019年3月19日~21日に(おそらく全主教出席の)会合を開くことが決定されたようです。

 

 (英語)The decisions will be taken by the meeting of the Hierarchs on March 19 – Romfea News

 

Romfea.newsさんのツイート: "The meeting of the #Hierarchs will have the last word on March 19 #romfeanews #ChurhOfGreece https://t.co/GDmrLxAZ8K"

 

 現在、ギリシャ正教会は発狂寸前ではないかという状態です。

 コンスタンティノープルとモスクワの対立をもう引き返せないところまでにしてしまったウクライナの件に加え、SYRIZAを率いるギリシャ共和国首相アレクシス・ツィプラス閣下(チプラス首相 : His Excellency Mr Alexis Tsipras)による国家と教会の分離(平たく言えば教会排除の方針)。また首相・SYRIZAによってマケドニア問題に関して国名を「北マケドニア共和国」で認めることや、トルコ共和国とのなんだかよくわからない関係の構築(ギリシャ正教会の府主教からは首相をトルコ系ユダヤ人とする発言も出ています。首相自身がトルコ紙に語ったことがベースになっているようですが)、そして、アフガニスタン・パキスタンなどからのイスラム教徒【ムスリム】への選挙権付与により票の上積みをはかっているなど。トルコ系ユダヤ人の無神論者がイスラム教徒から支持を受けるということでどこまで本当かわかりませんが、ツィプラス政権でギリシャと教会は滅ぶと恐怖しているようにみえます。
 なお、いろいろありましが、ギリシャの世論調査を信じるならば、今年【2019年】中におこなわれる(首相はかつて10月と発言)ギリシャ議会選挙で SYRIZA に投票すると答えた人は微増している状況です。この調査結果は、選挙までの残り半年以上で首相がさらになにかをやらかす可能性を上昇させています。

 また、欧州全体の景気後退が始まったのではないかという観測に加えて、仮にロシア正教会からフル・コミュニオンを解除されると、ロシア人巡礼観光客はさらに減少し(某府主教はロシア正教会を批判する一方で「365日ロシア人をもてなす」とかのんきなことをいってましたが)、ギリシャ経済は悪化、首相によって教会に責任が押しつけられるという展開もありえます。
 これはギリシャだけでなく、モスクワとの関係は、キプロスやエルサレムもそれぞれの国の経済・政治・外交に直結する問題なので、正直どこも頭が痛いでしょう。

 

キリスト教/英国正教会【イギリス正教会】【ブリテン正教会】公式サイトの記事「ONE APOSTOLIC FAITH & TRADITION」(2019年2月)

 少し前に総主教の称号の使用を開始した英国正教会【イギリス正教会】【ブリテン正教会】(British Orthodox Church)ですが、今回公式サイトに首座のグラストンベリー府主教/第7代英国総主教【イギリス総主教】【ブリテン総主教】“マル”・セラフィム1世聖下(His Beatitude Mar Seraphim I, Metropolitan of Glastonbury and Seventh British Patriarch)が書いたらしい記事が出ています。

 

 (英語:英国正教会公式サイト)One Apostolic Faith & Tradition – The British Orthodox Church

 

 いろいろ歴史的な内容はありますが、要は東方正教会とオリエント正教会の融和というか合同に近いものを呼びかけるもののようです。
 両者については、どの公会議までを認めるかの差(東方正教会は七つに対し、オリエント正教会は三つまで)がありますが、今回の記事によれば、英国正教会はかなり昔から東方正教会と同じ七つを認めているということです(コプト正教会に属していた時期は除く)。
 もちろん合同を呼びかける立場としては両者のうちのどちらと同じにしても構わないとは思いますが、コプト正教会側もよくもまあ受け入れたものです。そして、コプト正教会側が近年出ていった英国正教会の呼びかけをまともに相手にするとも思えませんが……。

 

 気になる点は二つ。

 一つは、そもそも誰に向けてこの記事を書いたのか、それがよくわからないところです。
 合同の呼びかけをしているのに、オリエント正教会内のコミュニオンの状態(シリア正教会とインド正教会の間)はもとより、東方正教会の教会分裂についてもなにひとつ言及がありません。
 コプト正教会を離脱した彼らにとっても見れば、そんなことは些細なことかもしれませんが、(たとえば)コンスタンティノープルとのコミュニオンを解除するという大ごとになっているロシア正教会が英国正教会の訴えに耳を貸す理由がまったく見えません。
 東方正教会もオリエント正教会も彼ら自身の問題が片付いておらず、離脱して総主教を称しはじめた変な少数集団の呼びかけに応じるどころか、この文章を読む理由すらあまりないのでは、と思わざるをえません。

 二つ目は、末尾の署名(というかなんというか文章を書いた人物名の表記)が「Abba Seraphim」となっています。英国総主教である「Mar Seraphim I」を使用するということ(というかそもそも昔そう決まったということ)になっていたはずですが、いまだにその該当記事以外では以前からの称号と同じもので表記(総主教とまったく書いていない)されており、これはいったいどういうことなのか。
 少数集団や少数派、あるいは訴えの正統性が非常に危ぶまれる人物が、身の丈に合わない称号の使用をぶちあげるケースは良くありますが、気が付くと使わなくなっていることも多いです。使わないのであれば、あんなことは書かないほうがよかったと思います。

 

 ともあれ、この英国正教会は、非常に妙な経緯をたどってきている少数集団ですが、今後もなにかあれば記事にします(もう出すネタがないだろうという気もしますが)。

 

シスマ2018:キリスト教/トルコ正教会がコンスタンティノープルの全地総主教庁を提訴。ロシアとウクライナの戦争を誘発するような行動はローザンヌ条約違反=トルコの刑法に違反とのこと(2018年10月)まだ存在していたことに驚きましたが……

【シスマ2018】東方正教会大分裂: ウクライナへの独立正教会設置を巡るコンスタンティノープルの全地総主教庁とロシア正教会モスクワ総主教庁の対立とそれに端を発した出来事及びその他のシスマ的な出来事の記事一覧など

 

 ロシアのタス通信によりますと、2018年10月16日、キリスト教/東方正教会(とはほとんどまったく思われていない少数集団)のトルコ正教会が、コンスタンティノープルの全地総主教庁を提訴した模様です。
 ロシア連邦とウクライナの戦争を誘発するような行動はローザンヌ条約違反=トルコの刑法に違反しているとのことです。

 

 (英語)TASS: World – Turkish Orthodox Church urges criminal case against Ecumenical Patriarchate

 

 率直な話、まだ存在していたことに驚きました。

 

 今回の記事でスポークスウーマンとして名前の出てきているセウギ・エレネロルSevgi Erenerol)という人ですが、首座(世襲)の姉妹で、5年前に終身刑になったはずでは……。

 

 なお、トルコ共和国大統領レジェップ・タイップ・エルドアン閣下(His Excellency Mr Recep Tayyip Erdoğan)はローザンヌ条約の見直しを求める発言をおこなっており、今回わざわざ条約名が出てきたことには、意味があるかもしれません。

 

追記:
 「ΡΟΜΦΑΙΑ(Romfea.gr)」による今回の件の記事によりますと、トルコ正教会は、全地総主教庁側が自分たちのものだと認識している建物(?)をいくつか保有(?)していて、係争中の模様です。

 (ギリシャ語)Το λεγόμενο Τουρκικό ''Ορθόδοξο Πατριαρχείο'' κατέθεσε μήνυση κατά του Φαναρίου

 

追記2:
 記事へのリンクをひとつ追加。

 (英語)Turkish Orthodox “Church” files lawsuit against Ecumenical Patriarchate / OrthoChristian.Com