キリスト教/フィンランド正教会の首座/ヘルシンキ・フィンランド全土大主教レオ座下が退任(2024年5月)11月に次の大主教を選出

 キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープルの管轄権下の自治正教会、フィンランド正教会の首座/ヘルシンキ・フィンランド全土大主教レオ座下(His Eminence Archbishop Leo of Helsinki and All Finland)の退任が、コンスタンティノープルに承認されたようです。

 2024年11月25日~11月28日に、次の大主教の選出がおこなわれ、コンスタンティノープルの承認後に着座します。

 

 (フィンランド語版:フィンランド正教会 公式ウェブサイト)Helsingin ja koko Suomen arkkipiispa Leo eläköityy Ekumeenisen patriarkaatin Pyhän Synodin siunauksella – Suomen ortodoksinen kirkko

 (英語)Archbishop Leo of Finland to retire by the end of the year / OrthoChristian.Com
 (英語)Archbishop Leo of Finland Announces Retirement, Successor to be Elected in November – Orthodoxy Cognate PAGE

 

Kirkkoamme piispana kaikkiaan yli 45… – Ortodoksit Suomessa | Facebook

 

Aamun Koitto – Mittavan uran kirkkomme palveluksessa… | Facebook

キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープルの府主教が、アレクサンドリア総主教庁のジンバブエ府主教が女性輔祭を叙聖した件について猛批判したというニュースに続き、それに対する反論など(2024年5月)

既報:
 キリスト教/東方正教会アレクサンドリア総主教庁のジンバブエ府主教セラフィム座下が、女性輔祭を叙聖(2024年5月)

 上記の出来事に関して、 Romfea.gr によると(あるいは他に同様な報道をしているところによると)、府主教個人のFacebook アカウント(ギリシャ語で検索しても見つかりませんでした)でのコメントらしいのですが、キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープルのイコニウム府主教セオレプトス座下(リカオニア全土における首座代行 : His Eminence Metropolitan Theoleptos of Iconium, Exarch of All Lycaonia)が、この叙聖を屈辱と述べ、猛批判した、というような報道が出ています。
 同・府主教は、バルソロメオス総主教や(次期総主教の有力候補である)エルピドフォロス大主教に近いと見られていますが、一方、以前の人事でコンスタンティノープルの中枢からは外されているとみる向きもあり、今回の私見がどの程度コンスタンティノープルを代表している感覚なのかはわかりません(そもそも該当アカウントを発見できていませんが……)。

 

 (ギリシャ語)Ικονίου Θεόληπτος: «Η χειροτονία αυτή είναι εξευτελισμός»

Romfea.gr – Romfaia.gr | Facebook

 

 一方、セオレプトス府主教のこの屈辱という見解に対しても、反論などが述べられており、

ジンバブエ府主教区から:
 The Metropolis of Zimbabwe offers insight into the Ordination of Deaconess Angeliki | Orthodox Times (en)

 そしてもう一つ。 

 (ギリシャ語)Απάντηση στον Μητροπολίτη Ικονίου Θεόληπτο – ΕΚΚΛΗΣΙΑ ONLINE

 こちらのほうは、アテネ大学の教授が述べているようなのですが、セオレプトス府主教を嘲笑するような内容にしか受け取れません。

 

 そもそも、古代の Deaconess の役割についても議論があるわけです。一番厳しい見方は、アレクサンドリアがおこなったことは古代にあったことの再現ではなく、別のことをおこなっている、すなわち単なる異端な行為であるとする立場です(当方にはその是非は判別できませんが)。この立場をとる人々は、東方正教会の教会法上合法な教会の中に、アレクサンドリア総主教庁はもはや存在しない、ということになるでしょう(アレクサンドリアは引く気がまったくなさそうなので)。
 Deaconess に(東方正教会の中で)賛成している人々は、古代の Deaconess は、明確に廃止されたものではないため、今回の件は、教えとして問題はない、というようなことが(古代と絡める議論に関しては)だいたいの認識のようです。
 セオレプトス府主教(一番上にリンクした記事の文章)は、古代の例について、アレクサンドリアが今回やったことと同じとみたうえで、もう必要がないままずっと来ているものを、雑に唐突におこなうのは無価値で屈辱としているようで、これを一貫性がある認識と受け取れるかどうかは人によると思います。

 なお、カトリックのローマ教皇フランシスコ聖下は古代の例は現代の議論とは関係ないとしています(詳細まで確認していませんが)。
 カトリックでは、 Deaconess に関する検討を進める委員会(?)があるはずで、そちらの検討がどうなるかによるでしょうか。

 いずれにせよ、セオレプトス府主教の見解とされるものが、本当に正式な府主教の見解なのかがまず問われたうえで(なにせ個人のアカウントで、記事からリンクもされていないので)、コンスタンティノープルとしてなにか見解を出すのかどうかというのが、次の注目になるでしょうか。

キリスト教/クレタ正教会のキドニア府主教アシナゴラス座下が、司祭に殴打される(2024年4月)トルコの聖堂で

 2024年4月1日、キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープルの管轄権下で自治的な権限を行使しているクレタ正教会のキドニア府主教アシナゴラス座下(His Eminence Metropolitan Athenagoras of Kydonia)が、トルコ共和国イスタンブールの聖堂で、コンスタンティノープルのクリソンソス掌院(Archimandrite Chrysanthos)に殴打されるという事件があったようです。

 二人の間にはこれまで意見の相違があり、この日も掌院が礼拝を午後三時に開始するように提案したものの、府主教が午後四時を提案。午後四時に現れた府主教が掌院に「あなたは不要なので立ち去ってよい」と発言し、事件につながったということです。
 なお、殴打後の言い争いがトルコ語でおこなわれたようで、ギリシャ語でないことに個人的には興味がわきました。

 掌院はトルコの警察によって行方を捜索されており、府主教は掌院を告訴した模様。

 

 (ギリシャ語)Κληρικός ξυλοκόπησε τον Μητροπολίτη Κυδωνιών

 (英語)Priest attacks Crete bishop in church in Turkey / OrthoChristian.Com

 

追記:
 府主教が声明を発表したとのことです:
 (英語)What Metropolitan of Kydonia stated regarding incident involving Archimandrite in Constantinople | Orthodox Times (en)

XユーザーのOrthodox Timesさん: 「Metropolitan Athenagoras of Kydonia has issued a statement to clarify the incident that occurred on April 3 at the Church of the Holy Archangels of the Megalo Revma in Constantinople #orthodox_times https://t.co/PmSstnwCtv」 / X

訃報(2024年3月19日):キリスト教/チェコ・スロバキア正教会のブルノ・オロモウツ大主教シメオン座下が永眠(1926~2014)

 2024年3月19日、キリスト教/東方正教会/チェコ・スロバキア正教会の、ブルノ・オロモウツ大主教シメオン座下(His Eminence Archbishop Simeon of Brno and Olomouc)が永眠したとのことです。
 1926年2月12日生まれの98歳。

 シメオン大主教は、2013年に、同教会の前首座であるクリシュトフ府主教が辞任したことに伴い、首座代行を務めましたが、教会内部の対立により首座代行の座は(現首座でもある)ラスティスラフ座下に移ります。ロシア正教会がラスティスラフ座下を支持。
 シメオン大主教はこれを認めず、コンスタンティノープルの支持を受けて、代替シノドを結成して対抗の動きを見せます。
 この時、シュムペルク主教イザヤシュ座下(His Grace Bishop IsaiaIzaiáš】 of Šumperk)を同教区の補佐として叙聖しています。
 しかし、コンスタンティノープルが最終的にラスティスラフ府主教を首座と認め、チェコ・スロバキア正教会の2013年からの分裂は終了します。
 しかし、2019年に上記のイザヤシュ主教がコンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】との共同の礼拝をおこない(チェコ・スロバキア正教会は OCU を教会法上合法な集団として認めていない)、一方で、ラスティスラフ府主教は OCU を認めない考えを度々述べており、集団として統制が取れているのか疑問が浮かぶところです。
 ただし、同教会の情報はあまり伝えられておらず、正直、現時点でどうなっているのかわかりません

 

 (チェコ語:ブルノ・オロモウツ教区 公式ウェブサイト)Vladyka Simeon se odebral na věčnost | Olomoucko-brněnská eparchie
 (チェコ語:ブルノ・オロモウツ教区 公式ウェブサイト)Pozvání na pohřeb vladyky Simeona | Olomoucko-brněnská eparchie
 (チェコ語:ブルノ・オロモウツ教区 公式ウェブサイト)Život a dílo vladyky Simeona | Olomoucko-brněnská eparchie

 (英語)Archbishop Simeon of Olomouc (Church of Czech Lands and Slovakia) reposes in the Lord / OrthoChristian.Com
 (英語)Archbishop Simeon of Olomouc-Brno Enters Eternal Rest – Orthodoxy Cognate PAGE

 

追記:
 葬儀に関する、同教区の動画や記事です。
 イザヤシュ主教が臨席、首座であるラスティスラフ府主教が来訪。

 (動画:チェコ語:ブルノ・オロモウツ教区 公式ウェブサイト)Z dnešního pohřbu arcibiskupa Simeona | Olomoucko-brněnská eparchie
 (チェコ語:ブルノ・オロモウツ教区 公式ウェブサイト)Fotografie z pohřbu vladyky | Olomoucko-brněnská eparchie
 (チェコ語:ブルノ・オロモウツ教区 公式ウェブサイト)Foto z pohřbu vladyky Simeona | Olomoucko-brněnská eparchie

ベラルーシ系の小教区(?)が、アメリカ合衆国ウクライナ正教会(UOC-USA)に加入したという話(2024年3月)

 ベラルーシ系の小教区(?)が、キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープル/アメリカ合衆国ウクライナ正教会(UOC-USA)に加入したという話が出ています。

 

 (英語:アメリカ合衆国ウクライナ正教会 公式ウェブサイト)Our Lady of Zhyrovytsk Belarusian Orthodox Cathedral of Strongsville, OH Embraced into Spiritual Union with the Ukrainian Orthodox Church of the USA | Ukrainian Orthodox Church of the USA
 (英語)Ohio: Schismatic Belarusian parish joins Ukrainian Orthodox Church of the USA (Constantinople) / OrthoChristian.Com

 

 UOC-USA公式ウェブサイトは、加入した集団がもともと所属していた教会については述べていません。

 OrthoChristian.Com は、加入した集団について、ベラルーシ独立正教会(Belarusan Autocephalous Orthodox Church)に所属していた1小教区とし、たまに言及されているベラルーシ独立正教会(Belarusian Autocephalous Orthodox Church)とは別の教会としています。
※”Belarusan”と”Belarusian”で “i” の有無の異綴字になっています。

 OrthoChristian.Com は加えて、三名の主教がシノドを構成しているとしていますが、主教を三名も擁している集団が、系譜関係もまったく知られずに存在しているものか、と困惑したので、リンクされているその公式ウェブサイトを見てみたところ。

その小教区というか、聖堂?の公式ウェブサイト:
 (英語)BELARUSAN ORTHODOX CATHEDRAL – HOME
※今後、閲覧が可能かどうか不明です。

 どうやら、 UAOC-Sobornopravna というウクライナの在外の教会の系統を組むようで、三名のうち、二名は UAOC-OU (在外ウクライナ独立正教会?)と書かれています。
 また、後者のベラルーシ独立正教会の首座および唯一の主教“スヴャタスラウ大主教”は一時期この教会とも関係があったようですが、現在は関係が無いようです。

His Beatitude, The Most Blesséd UAOC-OU Metropolit MAKARIOS, Svyachenno-Archimandrit,
His Beatitude, The Most Blesséd BAOC Metropolitan SERAFIM, Elder
His Eminence, The Most Rev. UAOC-OU Archbishop DAVID, Geron

+Metropolitan of Vilnius and New York Seraphim
+ Metropolitan Makarios of Houston and Texas
+Archbishop of Kansas and Missouri DAVID

 “ヴィリニュス・ニューヨーク府主教セラフィム座下”(BAOC)
 “ヒューストン・テキサス府主教マカリオス座下”(UAOC-OU)
 “カンザス・ミズーリ大主教デービッド座下”(UAOC-OU)

※「ヴィリニュス」はリトアニアの首都じゃないのと思った方のために説明しておきますと、(詳しく知りませんが)ベラルーシ人の中にヴィリニュスはもともとベラルーシ人のものだったというような感覚があるようです。事実はわかりません。

 この三名が今どのような活動をしているのか、唯一の情報源でもあるようなサイトを持つ聖堂を持っていかれて今後活動ができるのかはまったく不明です(特にセラフィム府主教)。
 また、今回の「加入」が、彼ら三人の同意があったのかどうかもわかりません。