インタビュー記事(英語):RIA NOVOSTIによるキリスト教/ロシア正教会ヴォロコラムスク府主教イラリオン座下へのインタビュー記事英訳版(2019年7月)

 RIA NOVOSTI【リアノーボスチ】によるキリスト教/東方正教会/ロシア正教会モスクワ総主教庁渉外局長ヴォロコラムスク府主教イラリオン座下(ヒラリオン府主教 : His Eminence Metropolitan Hilarion of Volokolamsk, chairman of the Moscow Patriarchate’s Department for External Church Relations (DECR))へのインタビュー記事英訳版が、モスクワ総主教庁渉外局公式サイトに掲載されています。

 

 (英語:ロシア正教会モスクワ総主教庁公式サイト)Metropolitan Hilarion: Recognition of the OCU by any Church will only deepen the division | The Russian Orthodox Church

 

キリスト教/ウクライナ正教会(モスクワ総主教庁系)の渉外局副局長が、「コンスタンティノープルは教会に“政治ウィルス”を持ち込んだ」「彼はすでに滅んだ帝国(ビザンツ帝国)の総主教」(2019年7月)

 キリスト教/東方正教会/ロシア正教会モスクワ総主教庁の管轄権下で高度な自治的権限を保有するウクライナ正教会の渉外局副局長ミコライ・ダニレヴィチ長司祭(Mykolay Danylevychニコライ・ダニレヴィチNikolay Danilevich)が、インタビューに答えています。

 

Перший Козацький:
Абсурд патр. Варфоломея на 1+1: ложь от отчаяния? Быстрое Погружение с Катей Жарких – YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=_23Dismb0XM

 

 (ウクライナ語:ウクライナ正教会公式サイト)Протоієрей Миколай Данилевич: У Тіло Церкви прагнуть внести політичний вірус, та Церква бореться (відео) – Українська Православна Церква

 (英語)UOC Spokesman: Head of Constantinople is a patriarch of non-existent empire – UOJ – the Union of Orthodox Journalists

 

 「コンスタンティノープルのバルソロメオス総主教は教会に“政治ウィルス”を持ち込んだ」
 「コンスタンティノープルの総主教は、すでに存在しない帝国【ビザンツ帝国or東ローマ帝国】の総主教。全地総主教の“全地”はビザンツ帝国内の全地のこと世界全体ではない。ギリシャ人が“全地”といった場合、彼ら以外のバルバロイ【野蛮人】の住む土地は含まない」
 「コンスタンティノープルは、海外の教区がなければ、トルコ内の小集団」
 「ローマ教皇は、コンスタンティノープルの総主教に書を送るとき、宛先を“コンスタンティノープル=新ローマ大主教”として送る」
 といったようなコメントをしているようです。
 率直に指摘しますと、最後の項目は間違いだと思います。確かにローマ教皇は宛先をコンスタンティノープル=新ローマ大主教としますが、続けて全地総主教と書いた文書がローマ教皇聖座の公式サイトに掲載されています(少なくとも現在のローマ教皇フランシスコ聖下はそうだということです)。

 その前の項目について、“ikumeni”の解釈については、判断する知識がありませんが、なによりもいっておかねばならないことが一つあります。
 それは、コンスタンティノープルには東方正教会全体への権威はないとするならば、そこが愚かで政治的で教会法や使徒継承性をまるで無視した行為をおこなったことに対し、とっとと破門(Anathema)を宣言しない理由はなぜなのか、ということです。

 もちろん、ウクライナ正教会には昨年当時そういう意見がありましたが、ロシア正教会モスクワ総主教庁にはそのような意見がないことは明白です。
 結局のところ、コンスタンティノープルと縁を切ることを決断できないのであれば、それはコンスタンティノープルを“並ぶもののない第一人者”として認めているわけであり、「なんとかコンスタンティノープル様に考えをあらためていただきとうございます」と言っているだけのこと。

 

 コンスタンティノープルが、同教会系ウクライナ正教会【OCU】を独立正教会として承認してから半年以上が経ちました。
 コンスタンティノープルは、 OCU の首座“エピファニー府主教”が教会法上合法な聖職者であるとすら述べていない状況で、しかし首座として独立正教会として承認するトモスを渡しました。
 “フィラレート総主教”に関しては、破門(Anathema)を撤回する理由も説明されず(政治的パフォーマンスであることは明らかなので)、しかもその後フィラレート総主教が OCU と対立を始めると、遺憾の意を表明して終わり。そもそもその後の展開を見れば、フィラレート総主教の破門を撤回する理由がまったくなかったという現実もあります(モスクワへの嫌がらせと、他の独立正教会の警戒心を高めただけ)。ウクライナのシスマを終わらせるとほたえていたのは大ボラもいいところで、遺憾の意を表明して「わしゃ知らんよ」で終わり無能かつ無責任なバルソロメオス総主教
 フィラレート総主教は、そもそも自分への破門はもとから有効ではなかったと主張しています。そうでないと OCU には教会法上合法な聖職者【神品】が存在しないことになるからです。これに対し、コンスタンティノープルは沈黙するのみで、話題を誤魔化してひたすら「独立正教会はウクライナの人々が望んだこと」と繰り返すばかり。もちろん(彼の想定する)ウクライナ人はイエスより偉いと彼が信じているなら何も矛盾はありませんが、それはウクライナ真理教でありキリスト教ではありません。

 

キリスト教/コンスタンティノープルの三人の司祭が、コンスタンティノープルを離脱して在外ロシア正教会【ROCOR】に移ったとの情報(2019年7月)

 ロシア系の正教会メディア ORTHODOX CHRISTIANITY (OrthoChristian.Com) によりますと、キリスト教/東方正教会/コンスタンティノープル系の司祭三人が、コンスタンティノープルを離脱して、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会の管轄権下で自治的に活動する在外ロシア正教会【ROCOR】に移ったという情報が出ているそうです。

 

 (英語)3 Greek priests leave Constantinople for ROCOR / OrthoChristian.Com

 

 三人のそれぞれの所属(前の所属)は、コンスタンティノープル系の「アメリカ大主教区」「ティアテイラ・グレートブリテン大主教区」、それに(クレタからアメリカに移ったというので)おそらく「クレタ正教会」ではないかと思います。

 このうち一人は、具体的にどこに落ち着くのかの情報が錯綜しているようです。
 また、クレタの人物は、英語が話せないとのことで、旅行ならともかくあっさりと永住できるのかという疑問も浮かびます。

 

 三人のうち一人の行動については、もともとからコンスタンティノープルのエキュメニズムと世俗化(平たく言えば西側諸国とローマへの屈服)に反発していたことがあるようです。西側諸国に反発していてもアメリカで宗教活動をしなければならないという現実がなんともいえないところではありますが。

 また、三人が移った先が、ロシア正教会モスクワ総主教庁ではなく、ロシア正教会の管轄権下で自治的に活動している在外ロシア正教会【ROCOR】というのは、おそらく ROCOR が現在教会法上合法な教会に含まれる教会の中でもっとも保守的(というかなんと表現すればいいかよくわかりませんが)で、かつ反コンスタンティノープルが明確であるからではないかと思います。

 

入院して集中治療室で処置を受けていた、キリスト教/東方正教会/エルサレム総主教庁のイリネオス修道士(解任された前エルサレム総主教)が退院した模様(2019年7月)

 ギリシャの正教会系メディア Romfea によりますと、集中治療室で治療を受けていた解任された前エルサレム総主教のイリネオス修道士(Irenaios)が、2019年7月9日に退院した模様です。

 

 (英語)The former Patriarch of Jerusalem Irenaios was discharged from the hospital – Romfea News

Romfea.newsさんのツイート: "The former Patriarch was discharged from the hospital on Tuesday night and went to his home where he reposes #romfeanews @JPatriarchate https://t.co/koVAyTEhI1"

 

 キリスト教/東方正教会/エルサレム・全パレスチナ総主教セオフィロス3世聖下(His Beatitude Theophilos III, Patriarch of Jerusalem and All Palestine)およびコンスタンティナ大主教アリスタルコス座下(Geronda Secretary-General Most Reverend Archbishop Aristarchos of Constantina)が病院を訪問していたとみられています。

 

キリスト教/ギリシャ正教会の2019年10月の聖シノド会合では、ウクライナ問題は議題にあがっていない模様(2019年7月)

 ギリシャの正教会系メディア Romfea によりますと、2019年10月8日~10月11日に予定されているギリシャ正教会の聖シノド会合では、ウクライナ問題は議題にあがっていないようです。

 

 (英語)Ukrainian issue is not on the agenda of the Holy Synod – Romfea News

 

 随分と先まで「ウクライナのことは検討しません」という話になっていますが……。
 「国内問題があるので、ウクライナのことなど考えていられない」という内憂を口実に外国に関する討議を避ける策でしょうか。

 

追記:
 ウクライナ正教会(モスクワ総主教庁系)公式サイトもこの件を報じていますが、議題に出生率の低下、若年失業、新しく家庭を築くことができない問題、片親の家庭の問題、同性婚、デジタル技術及び人工知能への対応が含まれているように読めます。

 (ウクライナ語:ウクライナ正教会公式サイト)Синод Елладської Церкви не буде обговорювати «українське питання», – ЗМІ – Українська Православна Церква

 

追記2:
 (今のところ見出しはロシア語ですが、本文は英語)Синод Элладской Церкви не будет обсуждать «украинский вопрос», – СМИ – UOJ – the Union of Orthodox Journalists

 

追記3:
 (速報気味の情報ですが)キリスト教/ギリシャ正教会の常任聖シノドはコンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】を独立正教会として承認するかどうかを10月の全主教団聖シノド会合で決定することにしたという情報(2019年8月)