キリスト教/アルメニア使徒教会/キリキア・カトリコスのアラム1世聖下が、アルメニア警察がガレギン2世聖下のサルダラパート記念施設への訪問を阻もうとした件について声明(2024年5月)

 キリスト教/オリエント正教会/アルメニア使徒教会(アルメニア正教会)キリキア・カトリコスのアラム1世聖下(His Holiness Aram I, Catholicos of the Great House of Cilicia【Catholicos of the Holy See of Cilicia】)は、アルメニア本国の全アルメニア人のカトリコスガレギン2世聖下が、警察によりサルダラパート記念施設への訪問を阻まれそうになった件について声明を出しています。

 やや慎重な言い回しのように思えますが、二人のカトリコスが緊密に連絡を取り合っていることと、両座がパシニャン政権への抗議デモ参加者に「法律の範囲内」で行動するようにおこなうように意見表明していること、警察の過度な行動を非難しています。

※アルメニア使徒教会には、アルメニア本国の聖エチミアジン母座を率いる「全アルメニア人のカトリコス」と、現在はレバノンを拠点にしている「キリキア・カトリコス庁(キリキア聖座)のカトリコス」の二人のカトリコスがおり、二人の地位の差については議論になりますが、基本的にどちらも独立した教会の長と考えておけばよいと思います(他教会からの扱い、敬称「His Holiness」など)。また、アルメニア使徒教会に存在する二人の総主教は、前者の聖エチミアジン母座の系列です。

 

 (英語:アルメニア使徒教会 キリキア・カトリコス庁 公式サイト)Announcement – Armenian Church Catholicosate of Cilicia

 

Cilicia TV – ՅԱՅՏԱՐԱՐՈՒԹԻՒՆ Մեծի Տանն Կիլիկիոյ… | Facebook

 

… – Մայր Աթոռ Սուրբ Էջմիածին/ Mother See of Holy Etchmiadzin | Facebook

キリスト教/アルメニア使徒教会カトリコスのガレギン2世聖下が、警察によりサルダラパート記念施設への訪問を阻まれそうになる(2024年5月)教会とパシニャン政権の対立深まる

 2024年5月28日、アルメニア共和国では、1918年~1920年のアルメニア共和国(アルメニア第一共和国)成立106周年の式典がサルダラパート記念施設にて、アルメニア共和国首相ニコル・パシニャン閣下(His Excellency Mr Nikol Pashinyan)らによっておこなわれましたが、キリスト教/オリエント正教会/アルメニア使徒教会/全アルメニア人のカトリコス・最高総主教ガレギン2世聖下(His Holiness Karekin IIGaregin II】, Supreme Patriarch and Catholicos of All Armenians)が警察によって入場を阻まれる事態となりました。
 教会とパシニャン首相は(パシニャン政権の対アゼルバイジャン連続敗北とその後の情勢により)数年間対立しており、アルメニア人が一つになったといわれているサルダラパートの戦いの記念施設でこのような事態となったようです。

 (英語:アルメニア使徒教会 聖エチミアジン母座 公式ウェブサイト)MSoHE | Following the Divine Lirutgy on the occasion of the Feast of St. Gayane and Her Companions and the Republican Prayer, the Catholicos of All Armenians visited the Sardarapat Memorial

Thank God, that despite the violence and prohibitions imposed by the police, His Holiness offered a prayer in front of the memorial to God for the peace of the souls of the brave Armenians who were martyred in the May heroic battles.

Mother See of Holy Etchmiadzin(聖エチミアジン母座 公式チャンネル):
Հայոց Հայրապետն այցելեց Սարդարապատի հուշահամալիր՝ հաղթահարելով ոստիկանական պատնեշները – YouTube

 

 (英語)Police Confront Armenian Church Head At War Memorial
 (英語)Armenian Church Denounces Excessive Force by Police on Protesters – Orthodoxy Cognate PAGE

 

 (英語)Police attempt to prevent Catholicos of All Armenians from entering Sardarapat Memorial

NEWS AM:
Ոստիկանները փորձում էին խոչընդոտել Գարեգին Բ–ի մուտքը Սարդարապատ – YouTube

 

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 キリスト教/アルメニア使徒教会/キリキア・カトリコスのアラム1世聖下が、アルメニア警察がガレギン2世聖下のサルダラパート記念施設への訪問を阻もうとした件について声明(2024年5月)
 キリスト教/アルメニア使徒教会エルサレム総主教ヌルハン・マヌージャン座下が、アルメニア警察がガレギン2世聖下のサルダラパート記念施設への訪問を阻もうとした件について非難声明(2024年5月)
 キリスト教/アルメニア使徒教会アルメニア使徒教会コンスタンティノープル総主教サハク2世マシャリャン座下が、アルメニア警察がガレギン2世聖下のサルダラパート記念施設への訪問を阻もうとした件について非難声明(2024年5月)

キリスト教/アルメニア使徒教会タヴシュ教区長バグラト・ガルスタニャン大主教座下が首相候補への名乗りを挙げる(2024年5月)カナダとの二重国籍のため憲法上不可能か

 キリスト教/オリエント正教会/アルメニア使徒教会のタヴシュ教区長バグラト・ガルスタニャン大主教座下(His Eminence Archbishop Bagrat Galstanyan, Primate of the Diocese of Tavush)がアルメニア共和国の首相候補への名乗りを挙げたようです。

 アルメニア共和国では、パシニャン首相率いる政権が、アゼルバイジャン共和国との国境画定のための政治的な協議をおこなっており、それがアルメニア側には納得できないものであるとする、反政権行動が起こっていますが、ガルスタニャン座下もその行動を率いる一人です。

 座下は、首相候補への名乗りを挙げるにあたり、アルメニア使徒教会の首座である全アルメニア人のカトリコスガレギン2世聖下へ教区長としての地位の返上を申し出たようです。
 これに対し、ガレギン2世と聖エチミアジン母座は、教区長としての地位は停止しているものの、座下は引き続き大主教の聖職階級に留まることが発表されています。

 座下が首相候補としてどれだけ支持を広げられるかという問題以前に、カナダとの二重国籍のため憲法上不可能であるようで、座下は憲法の改正から訴えているようです。

 

 (英語)Archbishop Bagrat Galstanyan Declares That He Is a Candidate for Prime Minister • MassisPost

MassisPost – Archbishop Bagrat Galstanyan Declares That He… | Facebook

 

 (英語)Archbishop Bagrat Galstanyan to retain episcopal rank – Mother See – Public Radio of Armenia
 (英語)In Armenia, Archbishop Bagrat becomes a candidate for premiership – News – news of Orthodoxy – the Union of Orthodox Journalists

キリスト教/コプト正教会首座/アレクサンドリア教皇タワドロス2世聖下が、ローマ教皇庁教理省長官ビクトル・マヌエル・フェルナンデス枢機卿座下らと会見(2024年5月)

 2024年5月22日、キリスト教/オリエント正教会/コプト正教会の首座/アレクサンドリア教皇タワドロス2世聖下(His Holiness Pope Tawadros II of Alexandria)は、ローマ教皇庁教理省長官ビクトル・マヌエル・フェルナンデス枢機卿座下(His Eminence Victor Manuel Cardinal Fernández, Prefect of the Dicastery for the Doctrine of the Faith)と会見しました。

 コプト正教会側の公式ウェブサイトの記載から取れるのは(英語版の記事はときどき変になるので注意ですが)、2024年3月に出された、いわゆる同性婚(so-called same-sex marriage)を拒否する同教会の聖シノドの声明に対し、今回の訪問時に枢機卿がこれに賛同した、ということです。
 2023年末に、ローマ教皇庁が、同性カップルを祝福できるという見解を示したと報道された後に、東方の教会ではこれに対して神学的対話への影響や中止に関する議題があがりました。
 枢機卿は、同性婚にカトリック教会が賛成しているわけではないことを伝えています。

 枢機卿には、エジプト駐箚ローマ教皇大使ニコラス・ヘンリー・マリー・デニス・テヴナン大司教座下(アエクラヌム名義大司教 : Archbishop Nicolas Henry Marie Denis Thevenin, Titular Archbishop of Aeclanum, Apostolic Nuncio to Egypt, Apostolic Nuncio to Oman)が同行(なぜかコプト正教会の記事では毎回 Cardinal と表記されますが……)。

 

 (英語:コプト正教会 公式ウェブサイト)H.H. Pope Tawadros II Receives Cardinal Victor Fernandez, Envoy of the Pope of the Vatican, and Head of the Vatican’s Department of Doctrine and Faith – Coptic Orthodox Church

قداس… – Coptic Orthodox Church – الكنيسة القبطية الأرثوذكسية | Facebook

 

追記:
 バチカンニュース(英語版)でも記事が出たのでリンクしておきます。

 Fiducia supplicans: Fernández Visits Tawadros – Vatican News

 

追記2:
 ROME REPORTS も映像付きで記事を出しました。
 東西教会の融和(が進まない原因となりうる)ということで注目が高かった項目ということでしょうか。

 (英語)Vatican seeks to clear up misunderstandings with Coptic Church over same-sex blessings – Rome Reports

ROME REPORTS in English:
Vatican seeks to clear up misunderstandings with Coptic Church over same sex blessings – YouTube

キリスト教/シリア正教会アンティオキア総主教イグナティウス・アフレム2世聖下が、同教会の管轄権下にあるインドのクナナヤ大主教区の首位府主教を停職に(2024年5月)

 キリスト教/オリエント正教会/シリア正教会の首座/アンティオキア・東方全土総主教“モラン”・“モル”・“イグナティウス”・アフレム2世聖下(His Holiness Moran Mor Ignatius Aphrem II, the Patriarch of Antioch and All the East, the Supreme Head of the Universal Syriac Orthodox Church)は、自らの管轄権に属するインドのクナナヤ大主教区の、クナナヤ大主教・クナナヤ大主教区首位府主教“モル”・セヴェリウス・クリアコス座下(His Eminence Mor Severius【Severios】 Kuriakose, Archbishop and Chief Metropolitan of the Knanaya Archdiocese)を停職にしたと報道されています。

 セヴェリウス・クリアコス座下は裁判所に停職を無効にするように申請し、裁判所側は一時的に無効にするよう裁定を出したようです(インドの司法制度と、シリア正教会の首座の権限と、これは独立したものなので、特に取り決めがなければ、シリア正教会の聖職者としては停職・現地の宗教団体のリーダーとしてはいまだその地位にある、という理解をしていますが、それで正しいかはわかりません)。

 停職の理由は、クナナヤ大主教区の憲章を総主教の権限を低下させるように変えようとする動きを起こし、総主教が反対したにも関わらず、変更のための会議を開くことを決定したことが一つ。これに対し、同大主教区に所属する、
 カリスズリー府主教“モル”・グレゴリオス・クリアコス座下(His Eminence Mor Gregorios Kuriakose, Metropolitan of Kallissery Region of the Knanaya Archdiocese)、
 ラニ府主教“モル”・イヴァニオス・クリアコス座下(His Eminence Mor Ivanios Kuriakose, Metropolitan of the Ranni Region of the Knanaya Archdiocese)、
 アメリカ・カナダ・欧州大主教“モル”・シルヴァヌス・アイユーブ座下(His Eminence Mor Silvanus Ayyub, Archbishop of America, Canada and Europe Region of the Knanaya Archdiocese)、
 らは、総主教に従う姿勢を見せているようです。
 また、セヴェリウス・クリアコス座下は、シリア正教会とは別の教会(おそらくマランカラ正教シリア教会(インド正教会))の聖職者に接近しているともみられており、これに関しても総主教が説明を求めたものの、拒否したとされています。

 平信徒らも、座下を支持し、総主教に憲章変更受諾を求めるクラウドファンディングを開始している人物から、総主教を支持している人物まで見解は割れているようです。

 

※ニュースへのリンクは、追加していくかもしれません。

 (英語)Patriarch of Antioch suspends Knanaya Jacobite metropolitan