1935年にキリスト教/ギリシャ正教会から離脱した GOC の首座“カリニコス大主教”が、ギリシャの2014年の法に基づいた“宗教団体”となる(なった?)ことを選択した模様(2019年6月)

※注記:
 状況がよくわかっていないまま書いた記事ですので、機会があれば整理します。

 

 昔の話からいきますと、キリスト教/東方正教会/ギリシャ正教会では、1924年に暦の切り替えをおこない、これに反対する人々を弾圧するということがありました(古い暦を支持する聖職者を守って警官に殺された女性がいるとか)。古い暦を支持する人々を(英語で)オールド・カレンダリスト(old calendarist)などと呼んだりします。
 1935年に古い暦を支持する人々はギリシャ正教会を離脱し、 GOC (Church of the Genuine Orthodox Christians of Greece : ギリシャ真正教会)という組織を結成するのですが、この他にもギリシャ正教会から離脱したり GOC から離脱したり、いろいろな組織が存在しています。わかりやすくするためかなんなのかよくわかりませんが、その時々の首座の名前を取って~・シノドなどと呼ばれたりもします(首座がカリニコスだと「カリニコス・シノド」)。またこれらの組織とコミュニオンの関係にあったり、前にそうであったりする集団を総称してトゥルー・オーソドキシー(True Orthodoxy)という呼び名があったりします。

 今回の GOC はその中の一つで、その首座の“カリニコス大主教”が、2014年のギリシャの法に基づいた「宗教団体」として登録する道を選んだというそういう話です(手続きや承認が終わっているのかは不明)。ちなみに今まではなんだったのかというと、非営利の団体に分類されるようなものだったようです。
 この2014年の法は、ギリシャ正教会を正しいものとするような前提になっているらしく(原文未確認)、それに従うのは(ギリシャ正教会を間違っていると判断して離脱した集団としては)おかしいという反対意見が生じているようです(ただ、そもそもギリシャ憲法では、コンスタンティノープルと関係が明確にあるギリシャ正教会を特別扱いしているわけですが……)。
 また、登録の狙いとして、 GOC 及び関連する名称を独占的に使用する(他の集団などに使用させないようにする)ことがあるともいわれています(そんなことが可能なのかもわかりませんが……)。

 状況もはっきりしませんが、東方正教会は、主流の集団以外もよくわからない状況に突入していくことになるのかもしれません。

 

キリスト教/ギリシャ正教会首座アテネ大主教イエロニモス2世座下が、イスタンブールでコンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】首座と会見(2019年6月)共同礼拝の予定はないとなっていますが……

 キリスト教/東方正教会/ギリシャ正教会首座/アテネ・全ギリシャ大主教イエロニモス2世座下(His Beatitude Hieronymos II, Archbishop of Athens and All Greece and Primate of the Autocephalous Orthodox Church of Greece)は、キリスト教/東方正教会首席/コンスタンティノープル=新ローマ大主教・全地総主教バルソロメオス聖下(バーソロミュー1世世界総主教バルトロマイ1世ヴァルソロメオス1世 : His All-Holiness Bartholomew, Archbishop of Constantinople-New Rome and Ecumenical Patriarch)の聖名日を祝うためにトルコ共和国イスタンブールを訪問しました。
 コンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】首座“エピファニー府主教”と会見し、晩課をともにした模様。

 翌日の礼拝を共同でおこなう予定はないようですが……。
 ギリシャ正教会の司祭が OCU の主教に叙されましたが、ギリシャの府主教(公式サイトに該当する名前が載ってない人)が会見したという報道が、ギリシャ・ロシア双方のメディアから出ています(ただしロシア側メディアの情報はギリシャのメディアの内容を踏まえたもの)。
 また、ギリシャの正教会系メディア「ΒΗΜΑ ΟΡΘΟΔΟΞΙΑΣ」が、キリスト教/ギリシャ正教会がコンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】を承認する見込みと報道するなど、そろそろという状況が整いつつあります。
 コンスタンティノープルが強く押せばあっさり共同で礼拝をおこなうのではないかとも思われます。ギリシャ正教会は OCU を承認していないため、現段階で共同で礼拝をおこなえば教会法もヘッタクレもないですが、そんなものよりもコンスタンティノープルの意思のほうが上だというのが東方正教会だということになったようなので、やるかもしれません。

 

 (英語)Archbishop of Greece meets Ukrainian schismatic primate in Istanbul / OrthoChristian.Com
 (英語)The Vespers of the Ecumenical Patriarch’s name day with the Archbishop of Athens and the Metropolitan of Kiev – Romfea News

 

ギリシャの正教会系メディア「ΒΗΜΑ ΟΡΘΟΔΟΞΙΑΣ」が、キリスト教/ギリシャ正教会がコンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】を承認する見込みと報道(2019年5月~6月)

 ギリシャの正教会系メディア「ΒΗΜΑ ΟΡΘΟΔΟΞΙΑΣ」によりますと、キリスト教/東方正教会/ギリシャ正教会の聖シノドに属する委員会(コンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】を承認するかどうかを検討)が、高位聖職者らに承認するよう提案すると決めたと報じています。
 もちろん、これは承認することが決まったことを示しているわけではありませんが、最近のキリスト教/東方正教会首席/コンスタンティノープル=新ローマ大主教・全地総主教バルソロメオス聖下(バーソロミュー1世世界総主教バルトロマイ1世ヴァルソロメオス1世 : His All-Holiness Bartholomew, Archbishop of Constantinople-New Rome and Ecumenical Patriarch)とキリスト教/東方正教会/ギリシャ正教会首座/アテネ・全ギリシャ大主教イエロニモス2世座下(His Beatitude Hieronymos II, Archbishop of Athens and All Greece and Primate of the Autocephalous Orthodox Church of Greece)の会談で承認することが同意されたという報道や、委員会では承認に否定的なキリスト教/東方正教会/アルバニア正教会の首座/ティラナ・ドゥラス大主教アナスタシオス座下(His Beatitude Archbishop Anastasios of Tirana and Durres, Primate of Albania)の文書がスルーされたり、その他ギリシャ正教会がコンスタンティノープルの奴隷にすぎない説が聖職者らから出されたり(ギリシャの憲法上コンスタンティノープルに逆らえないそうです)、他教会は中立を守るべきだとしていたキリスト教/東方正教会/キプロス正教会の首座/ノヴァ・ユスティニアナと全キプロスの大主教クリソストモス2世座下(His Beatitude Archbishop Chrysostomos II of Nova Justiniana and all Cyprus)はもはやなにも行動せず(ロシア正教会のイラリオン府主教との会談予定はどうなったのか……)、全般的にみると、ギリシャ人系各教会はコンスタンティノープルに従って動くことになるという当初からの各方面の見立て通りに落ち着きそうです。
 もっとも、ロシアと絶縁するとすさまじく政治的な問題が発生するアレクサンドリア総主教庁(エジプト大統領からどんな冷遇が起こるか)とエルサレム総主教庁(イスラエル政府が対ロシア政策の一環として利用しまくることはいうまでもない)がどうするかはまだわかりませんが……。アラブ化しているアンティオキア総主教庁は、親ロシアであり動かないでしょう。

 しかし、この21世紀、いよいよ「『ギリシャ正教』と『ロシア正教』は違うもの」ということになってきたように思えます。

 

 (ギリシャ語)Ουκρανικό – "Φωτιές" άναψε η απόφαση στην Ελλαδική Εκκλησία – ΒΗΜΑ ΟΡΘΟΔΟΞΙΑΣ

 

 なお、ギリシャ正教会が OCU を承認した場合、その後の展開として、ロシア正教会側からコミュニオンの解除を検討する聖シノドの開催があるでしょうが、ギリシャ正教会内部から離脱者が出てくる可能性もあります。

 

キリスト教/キプロス大主教クリソストモス2世座下が、ギリシャ正教会首座アテネ大主教イエロニモス2世座下を訪問(2019年5月)ウクライナ問題

 2019年5月21日、キリスト教/東方正教会/キプロス正教会の首座/ノヴァ・ユスティニアナと全キプロスの大主教クリソストモス2世座下(His Beatitude Archbishop Chrysostomos II of Nova Justiniana and all Cyprus)は、キリスト教/東方正教会/ギリシャ正教会首座/アテネ・全ギリシャ大主教イエロニモス2世座下(His Beatitude Hieronymos II, Archbishop of Athens and All Greece and Primate of the Autocephalous Orthodox Church of Greece)を訪問しました。
 クリソストモス2世座下は、ウクライナ問題討論のため、セルビア総主教イリネイ聖下およびブルガリア総主教ネオフィット聖下を歴訪しました。
 今回のアテネ大主教訪問は、それらを踏まえてのものですが、(少なくとも各記事からは)原則論の確認と希望を捨てていない主旨のコメント程度です。

 会談には、ギリシャ正教会側から、セスピエス主教シメオン座下(His Grace Bishop Simeon of Thespies)が同席したようです。

 

 (ギリシャ語:キプロス正教会公式サイト)Αρχιεπίσκοπος Ιερώνυμος σε Κύπρου Χρυσόστομο: «Να δούμε το συμφέρον της Εκκλησίας» – Εκκλησία της Κύπρου
 (ギリシャ語:ギリシャ正教会公式サイト)H ΕΚΚΛΗΣΙΑ ΤΗΣ ΕΛΛΑΔΟΣ : Ιερά Σύνοδος Εκκλησίας Ελλάδος – Ιεραρχία

 (英語)Archbishop Ieronymos to Archbishop of Cyprus: Fight for the common interest of the Church – Romfea News

Romfea.newsさんのツイート: "Archbishop Chrysostomos of Cyprus visited Archbishop Ieronymos of Athens to discuss on the situation of the Orthodox Church #romfeanews @Ecclesia_gr https://t.co/yqMYzQhL8T"

 

キリスト教/ギリシャ正教会聖シノド会合が終了(2019年3月7日)2019年3月19日から会合を開くことを決定

 キリスト教/東方正教会/ギリシャ正教会の聖シノドの会合が終了しましたが、大したことは決まらず、2019年3月19日~21日に(おそらく全主教出席の)会合を開くことが決定されたようです。

 

 (英語)The decisions will be taken by the meeting of the Hierarchs on March 19 – Romfea News

 

Romfea.newsさんのツイート: "The meeting of the #Hierarchs will have the last word on March 19 #romfeanews #ChurhOfGreece https://t.co/GDmrLxAZ8K"

 

 現在、ギリシャ正教会は発狂寸前ではないかという状態です。

 コンスタンティノープルとモスクワの対立をもう引き返せないところまでにしてしまったウクライナの件に加え、SYRIZAを率いるギリシャ共和国首相アレクシス・ツィプラス閣下(チプラス首相 : His Excellency Mr Alexis Tsipras)による国家と教会の分離(平たく言えば教会排除の方針)。また首相・SYRIZAによってマケドニア問題に関して国名を「北マケドニア共和国」で認めることや、トルコ共和国とのなんだかよくわからない関係の構築(ギリシャ正教会の府主教からは首相をトルコ系ユダヤ人とする発言も出ています。首相自身がトルコ紙に語ったことがベースになっているようですが)、そして、アフガニスタン・パキスタンなどからのイスラム教徒【ムスリム】への選挙権付与により票の上積みをはかっているなど。トルコ系ユダヤ人の無神論者がイスラム教徒から支持を受けるということでどこまで本当かわかりませんが、ツィプラス政権でギリシャと教会は滅ぶと恐怖しているようにみえます。
 なお、いろいろありましが、ギリシャの世論調査を信じるならば、今年【2019年】中におこなわれる(首相はかつて10月と発言)ギリシャ議会選挙で SYRIZA に投票すると答えた人は微増している状況です。この調査結果は、選挙までの残り半年以上で首相がさらになにかをやらかす可能性を上昇させています。

 また、欧州全体の景気後退が始まったのではないかという観測に加えて、仮にロシア正教会からフル・コミュニオンを解除されると、ロシア人巡礼観光客はさらに減少し(某府主教はロシア正教会を批判する一方で「365日ロシア人をもてなす」とかのんきなことをいってましたが)、ギリシャ経済は悪化、首相によって教会に責任が押しつけられるという展開もありえます。
 これはギリシャだけでなく、モスクワとの関係は、キプロスやエルサレムもそれぞれの国の経済・政治・外交に直結する問題なので、正直どこも頭が痛いでしょう。