キリスト教/東方正教会シスマ2022:アレクサンドリア総主教セオドロス2世聖下が、モスクワ総主教キリル聖下の名を礼拝で挙げることを停止(2022年11月)ロシア側からは2019年に停止済み。相互に関係停止へ

 現在開催されている、キリスト教/東方正教会/アレクサンドリア総主教庁の聖シノドの会合で、キリスト教/東方正教会/アレクサンドリア・全アフリカ総主教セオドロス2世聖下(His Beatitude Theodoros II, Pope and Patriarch of Alexandria and All Africa)は、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会の首座/モスクワ・ロシア全土【ルーシ全土】総主教キリル聖下(キリール総主教キリイル総主教 : His Holiness Kirill, Patriarch of Moscow and all Russia【Rus’】)の名を礼拝で挙げることを停止することを決定しました。
 会合はまだ終了していないので、全体の決定の詳細がどうなるかはわかりませんが、2019年にロシア正教会側は同様の決定をしているので、これで相互に関係の停止となりました。
 また、アレクサンドリア総主教庁は、ロシア正教会のアフリカにおける総主教代理/クリン府主教レオニード座下(His Eminence Metropolitan Leonid of Klin, Patriarchal Exarch for Africa)の聖職権限を剥奪するとしています。ロシア正教会には何の関係もありませんが

 

 (ギリシャ語)Το Πατριαρχείο Αλεξανδρείας διέκοψε την μνημόνευση του Πατριάρχη Μόσχας
 (英語)Patriarch Theodoros stops commemorating Patriarch Kirill, Russian Exarch declared defrocked by Alexandria / OrthoChristian.Com

 

 2018年~2019年にコンスタンティノープルが、自身がロシア正教会の管轄権下と認めていたウクライナで、教会法上合法でない上に使徒継承性が成立していない“主教”を首座とする OCU を承認するというムチャクチャな事態(使徒継承性や独立正教会に関するルールという、東方正教会の根幹を儀礼上トップの場所が雑に破った)があり、それに追随したアレクサンドリア総主教庁、ギリシャ正教会、キプロス正教会を含めて、ロシア正教会は関係を停止しています(一部残ってる部分もありますが)。コンスタンティノープルを含む4教会以外は追随していないため事態はその後には大きく動いていませんでしたが、アレクサンドリア総主教庁はロシア正教会と相互に関係を停止することを選びました。4教会はこのままロシア正教会と縁を切る方向に進む可能性が増しているように見えます。

 今回のアレクサンドリア総主教庁の決定は、ロシア正教会が、アレクサンドリア総主教庁の管轄権下であるとロシア正教会が認めていたはずのアフリカに、「アフリカにおける総主教代理区」を許可なく設置し、アレクサンドリア総主教庁を無視してお株を奪うような活動を始めたことが原因です(が、そもそも、上記のようなコンスタンティノープルの愚行に賛同した時点で結末は予見できていたようなものです)。
 ただ、ロシア正教会を含む各独立正教会は、一度独立正教会と認め、その管轄権下と認めれば撤回が出来ないという立場(そのため、ウクライナをロシア正教会の管轄権下ではないと一方的に認めることはできない)であり、ロシア正教会はアフリカ全土をアレクサンドリア総主教庁の管轄権下であると20世紀初頭に認めています。つまり、一方的にアフリカで活動すると「そんなことをしたらコンスタンティノープルと同レベルになってしまう」という指摘は出ていました。
 これに対する公式な立場はモスクワ総主教庁からは出ていないように思います。ロシア正教会の聖職者からは、「アフリカ全土はそもそもローマ総主教庁の管轄権下なので、モスクワ総主教庁が勝手によその総主教庁に移動することは出来ないから、アレクサンドリア総主教庁の管轄権下と認めたこと自体が無効なので無意味」というような見解も出ているようです(よく考えるものというか……)。

 ともあれ、ロシア正教会側のアフリカにおける総主教代理区が、オリエント正教会のコプト正教会から建物の提供を受けるに及び、アレクサンドリア総主教からコプト正教会側へ抗議(「東方正教会内部の問題への介入だ!」)もおこなわれたようですが、特に意味のある反応もなかったようで、結果的にことは東方正教会内部の問題におさまっていないことを示した形に。

 もともと、アレクサンドリア総主教庁は、活動において、ギリシャとロシア正教会からの支援に強く依存している形があり、ギリシャからの要求によりコンスタンティノープルに追随したものの、ロシア正教会からの関係停止とそのアフリカにおける総主教代理区設置から受けるマイナスな影響は強かったはず。
 その後、セオドロス総主教は、アフリカの要人と会見する機会もいくつかあったようで、おそらくロシア正教会と完全に縁を切ってもやっていける、あるいはやっていくしかないと踏んだということなんでしょう。
 今回の件がコンスタンティノープルやギリシャの諸集団と事前に協議したものなのかどうかはわかりませんが、どちらにせよアレクサンドリアと歩調をあわせていく形になるでしょう。

 

続報:
 キリスト教/東方正教会シスマ2022:ロシア正教会/アフリカにおける総主教代理/クリン府主教レオニード座下が、アレクサンドリア総主教庁による“処分”についてコメント(2022年11月)
 インタビュー動画(ロシア語・英語字幕):キリスト教/ロシア正教会/アフリカにおける総主教代理/クリン府主教レオニード座下が、アレクサンドリア総主教庁による“処分”についてコメント(2022年11月)

インタビュー記事(イタリア語):キリスト教/カトリック教会/リヴィウ大司教ミェチスワフ・クシツキ座下「ロシアの言語と教会を禁止するのは間違い」(2022年11月)

 (イタリア語)L’arcivescovo di Leopoli: un errore proibire la lingua e la Chiesa russa

𝐀𝐯𝐯𝐞𝐧𝐢𝐫𝐞さんはTwitterを使っています: 「Ucraina. L’arcivescovo di Leopoli: un errore proibire la lingua e la Chiesa russa https://t.co/TUS2Wfqgid (dal nostro inviato @GiacomoGamb」 / Twitter

 

 イタリアの新聞「Avvenire」(発行部数:11万弱らしいです)による、キリスト教/ローマ・カトリック教会/リヴィウ大司教ミェチスワフ・クシツキ座下(Archbishop Mieczysław Mokrzycki, Archbishop of Lviv)へのインタビュー記事です。
 同大司教はラテン典礼の大司教で、ポーランド出身です。

・今日のウクライナでは「ロシア人」はすべて敵だとみなされていることについて「理解できる反応」とし、あらためて戦争に抗議。
・だが、リヴィウに到着する避難民のほとんどはロシア語を話し、親族や友人が最前線で戦っている場合もある。国のレベルでロシア語を禁止するのには危険。
・四つの公用語があるスイスをモデルに出来る。
・モスクワ総主教庁系のウクライナ正教会(UOC、注:今年やむなく「独立」を宣言)は依然として「人々の教会」である
・ UOC の活動が禁止されている地域もあるが、ローマ教皇大使と同じくこのように教会活動を制限することに反対。
・「ウクライナの人々は交渉を望んでいるか?」という問いには、「妥協」の準備はできていないだろうと回答。

 なお、プーチン大統領とキリル総主教への批判の部分もあり、全体として、バランスの取れた見方であると思います。

 

 と、ここで終われば「へー」という話という範囲なのですが、なんとわざわざウクライナ東方典礼カトリック教会の司祭がすぐさまこれを取り上げてウクライナ語で批判。
 内容には納得できるものもありますが、少々唖然。

 Юрій Бойко – ХОЖДЕНІЄ ПО ВІСТРІ МЕЧА (спецоперація… | Facebook

着座式(2022年9月18日):キリスト教/在外ロシア正教会【ROCOR】の新しい首位/ニコラス府主教座下の着座式がおこなわれる

 2022年9月18日、キリスト教/東方正教会/ロシア正教会モスクワ総主教庁の管轄権下で自主的に行動している在外ロシア正教会【ROCOR】の新しい首位(First Hierarch)に選出・承認されていた、ニコラス府主教座下(His Eminence Metropolitan Nicholas)の着座式がおこなわれました。
 同教会の主教らの他、セルビア正教会およびウクライナ正教会(UOC)の主教の参列があったようです。

 

Eastern American Diocese ROCOR(在外ロシア正教会 米国東部教区 公式チャンネル):
Enthronement of Metropolitan Nicholas, New First Hierarch of Russian Church Abroad – YouTube

 

 (英語:在外ロシア正教会 公式サイト)The Russian Orthodox Church Outside of Russia – Official Website

 (英語:在外ロシア正教会 米国東部教区 公式サイト)New York City: Enthronement of Metropolitan Nicholas, New First Hierarch of Russian Church Abroad, takes place in Synodal Cathedral of the Sign | Eastern American Diocese of the Russian Orthodox Church Abroad

 

On September 17-18, the… – Eastern American Diocese (ROCOR) | Facebook

 

 (英語)ROCOR: Metropolitan Nicholas enthroned as First Hierarch at NYC cathedral (+VIDEOS) / OrthoChristian.Com
 (英語)Vicar of Odessa Eparchy takes part in enthronement of ROCOR First Hierarch – UOJ – the Union of Orthodox Journalists

 

参列した主教(追記中):
 ベルリン・ドイツ府主教マーク座下(His Eminence Metropolitan Mark of Berlin and Germany)
 セルビア正教会/新グラチャニツァ=米国中西部主教ロンギン座下(His Grace Bishop Longin of New Gracanica-Midwestern America)、
 サンフランシスコ・米国西部大主教キリル座下(Archbishop Kyrill of San Francisco and Western America)
 モントリオール・カナダ大主教ガブリエル座下(His Eminence Archbishop Gabriel of Montreal and Canada)、
 シカゴ・米国中部大主教ピーター座下(His Eminence Archbishop Peter of Chicago and Mid-America)、
 ウクライナ正教会(UOC)/アルツィズ大主教ヴィクトル座下(His Eminence Archbishop Victor of Artsiz)
 カラカス・南米主教ジョン座下(His Grace Bishop John of Caracas and South America)、
 ロンドン・西欧主教イレネイ座下(His Grace Bishop Irenei of London and Western Europe)
 シアトル主教テオドシウス座下(His Grace Bishop Theodosius of Seattle, first vicar of the Western American Diocese)
 ヴヴェイ主教アレクサンダー座下(His Grace Bishop Alexander of Vevey, vicar of the Western European Diocese)
 シラキュース主教ルーク座下(His Grace Bishop Luke of Syracuse, Vicar of the Eastern American Diocese)
 ソノラ主教ジェームス座下(His Grace Bishop James of Sonora, second vicar of the Western American Diocese)
 シュトゥットガルト主教ジョブ座下(His Grace Bishop Job of Stuttgart, vicar of the German Diocese)

キリスト教/“ウクライナ正教会”の現状と、NHKが“ウクライナ正教会大主教”と呼ぶ人物が実はほとんどの教会に認められていないことについて(2022年9月)

 ここの記事にリンクして、悪口を書いている人がいたよと教えてもらったので、それについて書いておきます。

※「悪口」というのは、キリスト教を信じているわけでも調べたわけでもない人物が、「コンスタンティノープルが認めたから正統性がある」とかいって、人を罵りはじめ、あげくはウクライナ正教会信徒を自称し始めるという、宗教全般を嘲笑し差別しているような行動をした人物の発言であって、「悪口」ではなく「異常」なだけかもしれません。
 発言内容はともかくとしても信徒を詐称し他者へマイナスの発言をする行為はないでしょう。問題外です

 

Q:
 コンスタンティノープルが認めたら正統性がありますか?
A:
 伝統的なキリスト教の教会では、神学と教会法により、何が可能かは決まっています。
 コンスタンティノープルを旧統一教会の教祖のようなものと勘違いしているのか、コンスタンティノープルが自由にすべてを決められると思っている人がいますが、そんなことはありません。
 カトリックでも、ローマ教皇が何もかも自由に決められるわけではありませんし(だから中国当局と妥協します)、コンスタンティノープルにはローマのような権限はありません(ないというのがこれまでの話でしたが、急にあると言い出しました。ですが、ローマと同じ権限があるとしても、なんでも自由にできるわけではありません)。
 コンスタンティノープルはこれを雑に無視して行動したので、東方正教会の多数派からその行動は支持されていない状況です。

Q:
  NHK の報道に出てきた“エフストラティ大主教”は聖職者ですか?
A:
 コンスタンティノープルは聖職者として認めていませんでした。
 現在、聖職者であるとする理屈を苦心してひねりだそうとしていますが、数年たっているのに、まったくうまくいっていません
 主教である条件の根本に使徒継承というのものがあり、それを満たしていないので、どうにもなりません。
 過去や事実を捏造しまくれば説明できますが、それでいいんですか?

Q:
 “エフストラティ大主教”による洗礼は有効ですか?
A:
 無効ですし、それがおこなわれた時にコンスタンティノープルに聞けば無効だと答えたでしょう。
 今も、コンスタンティノープルは有効だとしていませんし、前提となる“エフストラティ大主教”を聖職者だとする理屈も組み立てることができていません
 この状況では、無効としかいいようがない
 これで有効なら、教会は必要ない
 キリスト教はこの世に必要ないと思っている人が「コンスタンティノープルが認めたから正統性がある」とか恥知らずにもコメントし、信徒を自称しているので、あきれています。

Q:
 “エフストラティ大主教”による“洗礼”を無効だとすると、“洗礼”を受けた人たちが怒るのではないですか?
A:
 誰かが怒っているからその宗教的な主張は絶対に正しい・正しくするべきだ、というのはムチャクチャなお話です。こんな雑な理屈を展開する人物だから、信徒を詐称するんだろうなと思うしか。
 その“洗礼”を有効としたいならば、一番厳密に言えば、それがおこなわれた時点で“エフストラティ大主教”が教会法上合法な主教でなければなりません。そのための方法は、歴史的な事実を捻じ曲げることです。それで納得できるならどうぞ、としか。
 もう一つはコンスタンティノープルが皆が納得する神学理論を展開することですが、(予想通りですが)数年たってお粗末なものしか出てこず、どうにもならないでしょう。

Q:
 コンスタンティノープルの行動を認めないのは「モスクワの信者」ではないのでしょうか?
A:
 上記のようにコンスタンティノープルはルールを完全に無視しています。よって東方正教会の多数派からは認められていません。
 自分たちの行動について説明をまるでせず、批判されれば「ロシア人も雑なことをやった」で済まそうとするのは、ロシア人が悪いと主張すれば何もかも正統化できると思っているかのように見えます。その行動を支持する人の主張もまた、同じような方向を向いているのは興味深いところですが。
 「ロシア人が悪ければ神学や教会法や歴史的事実をいくらでも捻じ曲げてもいい」というのは、なんというか、キリスト教ではないような気がしますけどね。
 そもそも東方正教会は一つの教えを奉じている(ことになっている)わけであって、モスクワの信者=東方正教会の信者=コンスタンティノープルの信者になります。「モスクワの信者」というのが批判か何かだというなら、コンスタンティノープルにモスクワと縁を切るように要求してみたらいい。モスクワ側からはすでに縁を切っています。コンスタンティノープル側からは縁を切れないのです。コンスタンティノープルの主張する信徒数が一気に半分になっちゃいますからね。逆にいうとプーチン大統領はコンスタンティノープルが正統性を認めた信者(信徒)のままです(コンスタンティノープル側からは)。

 それにしても、ロシア人が悪ければなんでも正統化できるという妙な思考が、伝統的なキリスト教にまで要求されるとは……。
 この人たちに旧統一教会とコンスタンティノープルの違いを説明しろといってもロシア人への悪口しかいわないでしょうし、それはつまり大して変わらないと思っているということ。
 すごい時代になったなあ……。

 


以下、過去の記事。
※いくつかの雑多な記事からひっぱてきているので、長いし読むには適しません。
 ↑で言いたいことは全部書いているので、読む必要はありません。


 

 カトリックでは、神学と教会法により、ローマ教皇にも不可能なことがあります。後付けでなんとかなる、というのは歴史の修正主義みたいなものです。
 東方正教会では、コンスタンティノープルとか一般的にいわれているトルコ共和国の宗教団体(ギリシャ系トルコ人以外がトップになれない)にはそもそもローマ教皇におよぶような権限がもともとありませんが、今回、彼らは自分たちは何をやってもよいとか唐突に言い出しました。神学と教会法を無視したため、これはギリシャ系トルコ人は絶対に偉い・何をしてもいいんだと言っている新興宗教のようなもの。しかも、トルコ国内の団体のため、エルドアン大統領が強引にやればなんでも従うしかない程度の存在。なんだ、コンスタンティノープルというのはエルドアン大統領真理教なのか、と思ってもらってもいいくらい。

 ギリシャ共和国は憲法によってファナル(コンスタンティノープルのこと)とコミュニオンにある教会を国教のような扱いとしている為、その政治家は隣国トルコの宗教団体の影響から逃れられません。隣国の新興宗教によって政治家がどうこう、というのは最近聞いたような気がしますね。そう、旧統一教会です。「(神学と教会法を無視しても)コンスタンティノープルが認めたから正統性がある」というのは、「旧統一教会のまことのお母さまが認めたから正統性がある」というのと変わりません(旧統一教会は興味ないので良く知りませんけど)。 Mother Church という言葉を見るたびに、「まことのお母さまの教会」と訳したくなります。これは旧統一教会のせいではなく、ルールを無視したファナルが旧統一教会と同レベルに見えるせいですが。
 話がずれましたが、ファナルの行動に問題があると思わない人が多いから旧統一教会の規制が難しいというのははっきりと感じます。これは日本だけでなく世界中でそうですが。

 伝統的なキリスト教の教会は使徒継承(apostolic succession)というのを重視します。
 これは使徒からの叙階・叙聖が連綿と続いているという考えで、これが成立していなければ聖職者などなく(他の信者と違いがないので、彼らだけが可能なことがありえない)、従ってローマ教皇が偉いとか、ファナルが認めたとかは成立しません。使徒継承がないなら、他の人間が認めても一緒旧統一教会が認めても一緒。
 ファナルは、ウクライナにオーソドックス・チャーチ・オブ・ユクレイン【OCU】(“ウクライナ正教会”とか報道されていますが、すでに別組織で、2018年までファナルも認めていた集団があります)という、使徒継承が成立していない人物をトップに据えた集団を独立正教会と認めました
 使徒継承が成立していない人物を聖職者と認めるのはファナルには不可能です。したくても不可能だというのがルールです。ルールを無視していいなら、キリスト教系インチキ宗教です。もちろん、しっかり考えて変更してプロテスタントになるならインチキ宗教ではありませんが、ギリシャ系の人種がいうのは「コンスタンティノープルを失ったら、適当に寄り集まっているだけのルター派と同レベルになってしまう!」(=ファナルがどんなルール違反をしてもついていかなければならない)という、ひどすぎる思想
 ファナルが、使徒継承が成立していない人物を今から聖職者にするのは可能ですが、過去からすでに聖職者だったとできるというのは歴史の修正主義です。根拠とする事実がまったくないので。あるいは過去改変能力でもあるのでしょうか? 「(神学と教会法を無視しても)コンスタンティノープルが認めたから正統性がある」というのは、歴史修正主義を支持しているか過去改変能力があると信じているかという話で、この人たち( NHK を含む)の頭は大丈夫かと思われます。いや、単に宗教というのは教祖さまが自由になんでもできるもの、教祖さまに逆らうなバーカと思っているのでしょう。したがって教祖さまのために献金しろ、当然のことだバーカということになるわけで、なんだ、あなたたち( NHK を含む)は旧統一教会を支持してるのか結局。旧統一教会に入信したらいいじゃないか。これが冗談では済まないのは、こういう発想の人が多いから、旧統一教会が勢力を世界中で伸ばしてきた、という現実です。

 


 以下、過去の記事。

 

  NHK がいう「ウクライナ正教会」、すなわちコンスタンティノープルが2019年に一方的に独立正教会として承認した OCU (Orthodox Church of UKraine)は、現時点(2022年10月31日時点)で
 コンスタンティノープル
 アレクサンドリア総主教庁
 ギリシャ正教会
 キプロス正教会
という、コンスタンティノープルに逆らえない教会(逆らえなかった教会)からしか承認を受けておらず、承認していないのは、
 ロシア正教会の他、
 アンティオキア総主教庁、
 エルサレム総主教庁、
 ジョージア正教会【グルジア正教会】、
 ルーマニア正教会、
 セルビア正教会、
 ブルガリア正教会、
 ポーランド正教会、
 チェコ・スロバキア正教会、
 アルバニア正教会、
 マケドニア正教会-オフリド大主教庁、
 の11の独立正教会教会(=多数派)となっています。

 ロシア正教会だけでも東方正教会の信徒数の半分くらい
 コンスタンティノープルとそれに追随する教会群の信徒数は全体の一割くらい。日本国内で安倍総理の国葬を支持する人の割合の方が相当多いですね。「コンスタンティノープルが認めたから正統性がある」といっているひとは「自民党が認めたから安倍総理国葬には正統性がある」といわなければなりませんね(冗談)。

 また、上記の11の独立正教会は OCU を独立正教会として認めていないのみならず、教会法上合法な教会としても認めていないため、これらの11教会にとって OCU の“聖職者”( NHK がウクライナ正教会大主教とした “エフストラティ大主教”や“司祭”らを含む)は聖職者の格好をしたただの平信徒にすぎません。あるいは東方正教会の信者ですらないとの判断すらあります
 共同で礼拝をおこなわないのみならず、エルサレム総主教などは一方的に訪問してきた彼らに会うことを拒否しています。好ましからざる人物あつかいということです(そもそも一方的に訪問してくる時点で失礼ですが)。

 この状況はウクライナ国内にも反映されています。
 もともとロシア正教会系の教会法上合法なウクライナ正教会【UOC = Ukrainian Orthodox Church、今年、状況により仕方なくモスクワからの“独立”を宣言】という別組織があるためです。
 そもそももともとコンスタンティノープルは UOC を正統だと認めていたんですが……唐突に言うことを変えて、コンスタンティノープルの言うことは絶対(=新興宗教の教祖が好き勝手いうようなもの)だと言い出して、反感を買って、上記の如くの有様。
 この UOC の主教らは現在でもコンスタンティノープルを含むすべての独立正教会から教会法上合法な聖職者と認められており、また、コンスタンティノープルを含む少数派以外からは、ウクライナの唯一の教会法上合法な教会と認められています(ただし、どちらについても、“独立”の宣言によりモスクワ総主教庁からの扱いがどうなっているかは当方は把握していません)。
 アンティオキア総主教は今年に UOC の首座オヌフリー府主教座下へ支持するメッセージを出しており、エルサレム総主教はかつてオヌフリー府主教を「神がこの難局を乗り越えるために選んだ人物」とまでたたえています。実はアンティオキアとエルサレムの間には管轄権をめぐって争いがありますが、ウクライナにおいてはコンスタンティノープルの強引なやり方を支持しないことで一致しています。

 このようにウクライナにはもともと教会法上合法であり、今も多数の独立正教会から支持されている教会= UOC という組織があるにも関わらず、 NHK はこの現実を無視して報道して、11の独立正教会が支持していない OCU が唯一存在する広範囲な支持を受けている教会であるかのように報道しています(し続けています)。おまえなぜウソをつくんだい?

  NHK のせいか、 OCU を認めていないのはモスクワだけなどという何の根拠もない思い込みを語っている人や、認めない連中はモスクワの信者だけなどと語る人もおりますが、上記のロシア以外の10教会が本当にモスクワの信者とでも思っているのでしょうか? 仮にそうならコンスタンティノープルを追い出すなり、モスクワがトップだと宣言するなりしても差し支えないでしょうに。なんでそうしないんですか? 現実は「コンスタンティノープルがルール違反なことをしたが、さすがにコンスタンティノープルを追放することは不可能なので、その決定(= OCU )に反対したりスルーしたりしている」という状況です。
(個人的にはコンスタンティノープルの行動は完全に異端なので破門するべきと思ってますし、そうしないのならば東方正教会はもはや古代から続く使徒継承教会と見なせません。カトリック教会は彼らを「プロテスタント」か「キリスト教に含まれない宗教団体」のどちらかに分類しなおすべきです。真面目にやりたいならですが。まあ、やりたくないなら、やらなくんていいんじゃないでしょうか。ただ、伝統的な教会がこれでは、旧統一教会も、伝統的なキリスト教も大差ないとしか)

 つまり、 NHK の報道は、特定の宗教の現状に関して異論が噴出し、それが原因でウクライナ社会の分断が深まった/深まり続けているのに、その現実を無視した極めて不誠実で一方的な前提にもとづいているものであるといえます(いちおう言っておきますと、教会法や聖職者の地位以外の内容部分、ロシアの行動を取り扱った部分について批判や否定をしているわけではありません)。
  NHK には、他の立場の人々はまったく見えてない、というのはいつものことかもしれませんが。
関連:
 インタビュー記事(イタリア語):キリスト教/カトリック教会/リヴィウ大司教ミェチスワフ・クシツキ座下「ロシアの言語と教会を禁止するのは間違い」(2022年11月)
※ウクライナ国内のロシア語話者とロシア正教会系(再度言いますが今年やむなく“独立”を宣言)の UOC の置かれている立場を憂慮しているポーランド人のカトリック大司教によるインタビュー記事です。
※なお、当然のことながら、 UOC はもともとウクライナの唯一の教会法上合法な教会なので、ロシア語話者しか信徒がいないわけではありません。

  NHK は21世紀に入っても、ロシア語講座の母国語講師にウクライナ人を起用するなどロシアとウクライナを適当に、あるいは「兄弟国」として扱い、いざ状況が変わればまた別の方向へ雑なことをおこなっているように見えます。まあこれもいつものことなんでしょう。他の分野でもこんなもんなんでしょう。そんなんだから NHK ~党(?)というところが勢力を持つのでしょう。自滅

 雑な行動の結果、コンスタンティノープルは調停者役としての資格を失いつつあります。教会の本拠地別でいえばギリシャとキプロスとトルコ(コンスタンティノープル=イスタンブール)とエジプト(=アレクサンドリアがある)しか従っていない。

 また、コンスタンティノープルが、もともとモスクワ総主教庁系の UOC を正統と認めていたことも考えてみれば、 OCU をあっさりと見捨てて処分する可能性すらあります。一般常識として、自分たちが重要としてきたルールについて適当なことを言いだした宗教団体なんてなんにも信用できないんですよ。次にどんないい加減なことを言い出すかわかったものではない。

 

追記:
 なお、ギリシャ人系の人々が、たいして確認もせずに他の人々に対してきわめて雑に行動している例は過去にもありました。

 キリスト教/キプロス大主教クリソストモス2世座下が、“北キプロス・ロシア正教会”を批判(2019年8月)在外ロシア正教会と、在外ロシア正教会から分離した(通称)“アガファンゲル・シノド”の区別がついていないのでは……

 

追記2:
 ローマ教皇聖座と中華人民共和国の司教任命に関する暫定合意がさらに2年間延長(2022年10月)
 上記からリンクしたバチカンニュース英語版の記事(Cardinal Tagle: A decision to safeguard apostolic succession for Chinese Catholics – Vatican News)で、フィリピンのタグレ枢機卿座下は、カトリック教会・教皇と、営利企業とその CEO の比較のたとえを出した後、この二つが同じようなものであるということを否定し、司教(ビショップ)ひとりひとりが使徒の継承者であることを強調、それを維持することの必要性を説いています。
 そうでなければ、秘跡(秘蹟)は有効にならず、よって使徒継承性を満たす司教を中国に存在させ、信徒に有効な秘跡を受け続けさせるために、バチカンは中華人民共和国と(いやいやながら)合意を結んでいるわけです。
 この理由を理解していないのか、中国側はしょっちゅう合意を破って勝手な決定をしています。「後でローマ教皇が認めたら正統性があることになるから、先にマウントとっちまえばいいだろ」(=「後からでもコンスタンティノープルが認めたから正統性がある」とか主張する連中と同レベル)ということです。が、神学と教会法により、ローマ教皇でも後から正統化することができないことというものが当然あり、それゆえに決定にその時点でローマ教皇が関わることが重要だと言っているわけです。

 コンスタンティノープルにこのレベルの行動はまったくありません。唐突に無意味なことをしただけ。よって OCU の“聖職者”は聖職者ではないですし、彼らのおこなう秘跡は無効です(11の独立正教会=多数派にとって)。だいたい、無効だとコンスタンティノープルはずっとずっと言ってきたうえに、今も有効だとできる理由を示せていない。
 中国の司教は聖職者なのでその秘跡は有効です(カトリックにとって)。
 ローマとコンスタンティノープルのこの違い!

 使徒継承は、ローマ・カトリック教会、東方正教会、オリエント正教会、アッシリア東方教会、つまり古代から続く各教会に共通する根本的なルールといってもいいほどです。
 コンスタンティノープルは OCU の承認によって、使徒継承を否定したようなものです。
 タグレ枢機卿座下のコメントを読んだ後では(あるいはその前でも)、カトリックと現在の東方正教会を同格に並べるなど使徒に対して失礼としか言えません。

 

 そういうわけで。
 「コンスタンティノープルが認めたんだから正統性がある」などというのは理屈のうちにも入っておらず、「社長が決めてんだから黙って従えよバーカ笑」というレベルの悪口・おどしでしかありません。
 神と関係ありません
 キリスト教と関係ありません
 使徒と関係ありません
 単なる政治力にぎってる人間によるパワハラの類。
 いや、新興宗教の教祖さまが決めたのだから絶対だという話。バカバカしい。旧統一教会とコンスタンティノープルの区別もついていないのか。いや同類だと思っているのか。まあ同類(同じキリスト教)なのかもしれませんが。

 

追記(2022年11月):
 コンスタンティノープルの司祭(掌院)がテッサロニキ神学校で提出した論文に対して、反論する形でアルバニア正教会の聖シノドが声明を発表。あらためてコンスタンティノープルの行動を批判、 OCU は教会法上合法でない、その“主教”は主教ではないと指摘するような形となっています。
 論文の中身でアルバニア正教会に触れられている事柄が不正確で誤解を招くとしての発表のようです。
 (ギリシャ語:アルバニア正教会 公式サイト)Σχετικά μέ τή μεταπτυχιακή ἐργασία τοῦ Ἀρχιμανδρίτoυ π. Γρηγορίου Φραγκάκη γιά «τό ἐν Οὐκρανίᾳ ἐκκλησιαστικό ζήτημα». – Ορθόδοξος Αυτοκέφαλος Εκκλησία της Αλβανίας
 (英語:アルバニア正教会 公式サイト)Regarding the Master’s Paper Of the Archimandrite Fr. Grigorios Frangakis On “The Ecclesiastical Issue in the Ukraine”. – Orthodox Autocephalous Church of Albania

※アルバニア正教会の公式サイト、あまり更新の無い英語版にも掲載されました。
 英語版も掲載したのは、読める人の多い英語版を掲載しておかないといけない(=そうしないと一部のギリシャ人が勝手なことを言い出す)との判断でしょう。
 コンスタンティノープルの聖職者が唐突に新発明した神学的珍論(一部は完全に歴史の歪曲を含む)に対応するむなしさが感じられるとても良い文章だと思います。いや本当に。この聖職者は、カトリックの(本筋に関係ない)神学まで持ち出して主張をおこなっているようで、これではカトリック系新興宗教団体(なんだやっぱり東方正教会というのは、ただローマから分離しただけの集団か)。

 アルバニア正教会の府主教の一人はかつて「旧統一教会に一切かかわるな」と発言していましたが、伝統的な宗教団体(のはずのコンスタンティノープル)が自分で宣言していたルールも守らないようでは大変ですねとしか。旧統一教会が勢力を伸ばす理由の一端もわかるものです。

 21世紀にもなって、ムチャクチャにルールを破る伝統的なキリスト教と、それを支持するかのように「(自分たちが言っていたルールをいきなり破っても)コンスタンティノープルが認めたから正統性がある(だから信者は黙って献金しろ)」などといういい加減な人々。旧統一教会への規制が難航しているのは当然ですし、最終的に失敗するでしょう。

 

追記2:
 書籍形式PDFファイル(2022年11月 アラビア語・一部英語):キリスト教/コプト正教会首座/アレクサンドリア教皇タワドロス2世聖下のスピーチを集めたもの。掲載写真のうちキリスト教指導者では、ローマ教皇フランシスコ聖下、ロシア正教会モスクワ総主教庁キリル聖下、エチオピア総主教“アブネ”・マティアス1世聖下、ロシア正教会ヴォロコラムスク府主教アントニー座下を重要視か

 コプト正教会がロシア正教会を重視し、コンスタンティノープルはかけらも気にしていない写真構成だったという話です。というか、東方正教会の古代からの四大総主教庁はすべてスルー気味=その他大勢扱い。

 もっとも、そもそも非カルケドン派(=オリエント正教会)が五大総主教庁(ペンタルキー)をありがたがる理由は全然ないんですが。
 ローマとアンティオキアとアレクサンドリアは重要かもしれませんが、後二者はオリエント正教会に存在するので、後はローマ教皇だけになると。
 他は、東方正教会の信徒数の半分を占めるロシア正教会くらいしか重要なところがない、とまで思っているかはわかりませんが、アントニー府主教まで重要に扱っているところを見ると、コンスタンティノープルというのは結局のところロシア正教会モスクワ総主教庁の渉外局長よりはるかに下なのかと。

 


 

 コンスタンティノープルを東方の教会の代表のように扱い、そこと宥和することにより東西教会全体が宥和したかのように見せかけるというローマの目論見(?)は破綻しつつありますが、なんにせよどこももうムチャクチャなので、気のすむようにしたらいいんじゃないでしょうか。

キリスト教/セルビア総主教ポルフィリイェ聖下がコンスタンティノープルのバルソロメオス総主教のウクライナにおける行為を「教会法にそっていない」とコメントした件で、コンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】の聖職者がセルビア総主教を非難(2021年3月)着座後すぐに泥沼の気配

 新たに着座したキリスト教/東方正教会/セルビア正教会は、セルビア総主教ポルフィリイェ聖下(ペーチ大主教 : ベオグラード・カルロヴツィ府主教 : His Holiness Porfirije, Serbian Patriarch, Archbishop of Peć, Metropolitan of Belgrade and Karlovci)は、インタビューでの答えの中で、コンスタンティノープルのバルソロメオス総主教のウクライナにおける行為(一方的に独立正教会を設置したことなど)を「我々はロシア正教会の見方をしているわけではなく教会法を守っているだけ。コンスタンティノープルのやり方は教会法・慣習に沿っていない」とコメントしました。
 これに関して、コンスタンティノープル系ウクライナ正教会【OCU】の“聖職者”が、「セルビア総主教は教会法の専門家でも、ウクライナにおける専門家でもなんでもない」と非難しているようです。

 

 (英語)Schismatic bishop fires back: Serbian Patriarch is no expert on canons, he’s pretending to be an oracle / OrthoChristian.Com
 (英語)OCU claims Patriarch Porfirije is not an expert on canons – UOJ – the Union of Orthodox Journalists

 

 ウクライナにおける現在の東方正教会の問題は多々ありますが、まず OCU の首座である“エピファニー府主教”について、ポーランド正教会は「彼は主教ではない」と回答しており、キプロス正教会でコンスタンティノープルを批判している府主教らは「彼は神品(聖職者)ではない」と発言しています。
 ポルフィリイェ総主教にいたっては、かつて「彼は信徒ですらない」としていました。

 ポルフィリイェ総主教からしてみれば、なんで首座を自称する「信徒ですらない人物」のよくわからない手下からこんなことを言われねばならんのかという話で、コンスタンティノープルがこれに対して(ポルフィリイェ聖下のコメント及び、それに対する OCU の人物のコメントに対して)何か反応するのか注目です。

 

 それにしても、ああ、泥沼……。